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紫原×桜井

※同棲




ほんのりと香るピンクの空気で目を覚ました。時計を見ればすでに昼時は過ぎており、数時間前まで隣で寝ていたはずの人物への申し訳なさが募った。休日とはいえ惰眠を貪ってしまっただなんて、寝穢い奴め。
だるさの残る体で布団から抜け出し、顔を洗いに洗面所へ。すっきりするとピンクの空気をより強く感じた。


「おはようございます、紫原サン」
「ん、おはよー良ちん。ぐっすりだったねー」
「すみません、つい」
「いーよ、どうせ日曜だし。なんか食べる?」
「…あんまりお腹空いてないです。すみません」
「そっかー」


目覚めの一杯というか、とりあえずインスタントのコーヒーを淹れる。紫原サンの手元を覗けば何やら調理をしていた。


「何を作ってるんですか?」
「マカロンー、さくらの風味だよ」
「ああ、どうりで」
「どう?食べれる?」
「…食べます」


先程は断ったのに、彼の作る甘味の美味しさを知っている僕は申し訳なさを感じながらも頷いた。
淹れたコーヒーをテーブルに置いて傍に寄れば、少ししょっぱいような甘いような不思議な匂いがした。


「桜の塩漬け使ったんだけどさぁ、そのまま食べたらすげーしょっぱかった」
「それは…でしょうね」
「マカロンがしょっぱくならないか心配なんだよねぇ」
「砂糖入れたんなら大丈夫じゃないですか?」
「そーだよね、うん。クリームにあんこ使ってるし、うん、平気平気」


話す間にてきぱきとピエにクリームを挟んでいく。あ、手伝いたいなぁ。紫原サンの図体がでかいせいで手が届かなくて無理なんだけど。


「できたー」
「お疲れ様です」
「ホントは一晩冷やした方がいいんだけど、良ちんそういうの気にする?」
「どの程度変わるのかわからないので…すみません」
「そっかー」
「でも、本音を言えば今すぐにでも食べたいです」
「そっかー。はい、あーん」
「む」


どう、ちゃんと甘い?
上から覗き込んで感想を求められる。僕は中途半端に口を塞ぐマカロンを咀嚼して、手っ取り早く彼の唇に自分のを押し付けた。




スイーツ系(笑)
130211




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