MIX | ナノ






木吉×宮地

※ナチュラルにデキてる




待ち人がこなかった。三月なのにクソ寒いし、一時間も待たされてるし、最悪だ。
呼び出された小さな公園に、ロクな物があるわけもなく。ふらりと低いブランコに腰掛ける。脚がだらんと伸びて、馬鹿みたいだった。漕いでも漕いでも俺一人。飛べもしないし壊れもしないし、本当に最悪だ。
あっという間に一番星まで見えたから「みーつけた」と呟いた。童心。それでも奴はこなかった。




惚けていると、急いだ素振りも見せずに、ゆったりとした年寄りくさい笑顔で木吉が近づいてきた。ブランコは隣にもう一つあるけど、木吉は俺の足先の、俺の真ん前にしゃがんだ。


「おせえよ」
「すんません、本当はもっと早く会いたかったんですけど、気の利いた言葉が出てこなくて。とりあえず、卒業おめでとうございます」


早く。その言葉の意味するのは今日のことじゃなくて、もっと、何日も前のことだろう。そうだよ、お前おせえんだよ、気の利いた言葉なんざ期待してるわけねえだろ、轢くぞ。


「おう。つか卒業とかいつの話だと思ってんだ」
「ははは、そうですよね。日向にもよく言われるんですよ、お前は無神経すぎるとか、ちったぁモノ考えろって。俺だってない頭使ってるつもりなんすけどね」
「…刺すぞ」
「それはちょっと、本望かもしれない」
「きめえよ、真に受けてんじゃねえ」
「あっははは」


のんきな笑い声に見透かされたような。はぁっと大きく息を吐いた。白い空間を木吉が見つめる。なあそれ楽しいか。お前って本当によくわかんない奴だよ。なんで俺達付き合ってるんだろうな。別に、嫌いじゃないけどさ。目だけでそう訴える。すると木吉は「俺も好きですよ」とくしゃりと笑った。鼻の頭が赤かった。




もしかしたら同じ学校だったかもしれないんだぜ。でもそしたら誰が抜けるんだろうって考え出してやめた。
ふたりへのお題ったー「かくれる場所はもうないよ/きよきよ」
http://shindanmaker.com/122300
130320




人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -