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Look Back

また、この季節が来た。
もう10年経ったはずだ。それなのに時間はなかなか傷を癒さない。毎日ふとしたことで高校時代の三年間が頭をよぎり、反射的にあの日を思い出してはどこかが痛む。
幸いこの時期は休みをとる社員が多く、俺は毎年没頭できるよう仕事を詰めた。バスケの事を考える時間が少しでも減るように。苦しいものがごちゃまぜになったあの気持ちと正面から向き合わなくてもいいように。


(弱くなったなぁ…)


仲間に支えられながらもチームの柱になって、がむしゃらに走って、勝つことだけを目指していた頃に弱気はなかった。弱音もなかった。二度とリベンジすることの叶わない負けを知ってしまってからはすっと熱が冷めてしまったような。
ああ、俺の夏は、俺の冬はまだ終わっていないのに。もう終わることもないんだ。


「あ、笠松―、お前今月の27から休みになったわ。会議もなくなったって。まあ年末だし、ゆっくり休めな」
「…は!?」





突然与えられた休みに拍子抜け、そして焦りを感じる。なにかで隙を埋める作戦は10年目にして初の失敗が決まった。とりあえず、落ち着いて、放置していた誘いのメールに返信を打とうか。




『今年こそ28日空いてるよな!!駅前で待ってるから!!彼女募集中の由孝より』
『残念だけど空いたよ。いい加減いい人見つけろ』
『キタ━!笠松がこの日空くなんて珍しいな!雪降らないか心配!っていうかいい人見つかったら苦労しないんだって』
『たまたま仕事なくなったんだよ。お前に見る目がないだけだと思う』
『由孝泣いちゃう』
『うぜえ』





「やっぱさみぃなぁ」


なんとなく、待ち合わせより20分早く来てしまい、微妙な時間だから店舗には入らず待つことにした。
はぁ、と吐く息が白い。視覚で今が冬であることを理解させられる。既視感を逃すように頭を振った。


「あ!キャプテン!!」
「は?」
「早いですね。まだ待ち合わせまで結構ありますよ」
「早川に中村、なんで?え、お前らも森山に呼ばれてんの?」
「森山先輩、毎年みんなに声かけますよ」
「今まで一回も来てないの先輩だけっすかあ!」
「マジで?…俺、てっきり森山の気まぐれかと」
「気まぐれで10年もメールしないだろ。久しぶりだな笠松、早川も中村も」
「小堀!」


背後から現れた小堀は相変わらず柔和な笑みを携えていて安心する。話を聞けば自分だけ進んで仲間外れになっていたようだ。妙な脱力感を感じていれば、呼び出した張本人がいつ見ても派手な金髪を連れてやってきた。


「かっさまつー!しばらくみないうちに老けたなお前」
「笠松先輩お久しぶりっス!元気でしたか?」
「お、おう」
「まったくお前ったら何回誘っても来ないんだから。主将を思う俺らの気持ちをちょっとは汲めって話しだよな」
「…は?」
「そうっスよー!俺今年もダメかと思って仕事入れてたの、ずらしてもらったんスからねー!」
「いや、知らねえし」
「あっはは、ほら皆、いつまでも外でだべってないで行くぞ?」
「…どこに?」
「先輩なにとぼけてんスかー、今日やることっていったらいっこしかないっしょ!」
「おーら笠松!ぼーっとしてんな、バスケすんぞ!」
「…おう!」



and Advances To a Front.




超個人的に公式前に覚悟を決めてその時が来たら笑ってお疲れ様を言おうぜ企画6。
やっぱり仲良し大好き海常海常。
130224




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