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優しい嘘をごめんなさい

 先輩あのね、実は俺、未来から来たんスよ。知らなかったでしょ。
 先輩ってずるっこ嫌いだし、いつだって今の自分を信じられるような人だから、未来の話なんて聞きたくないかもしれないけどごめんね。
 俺達未来では同棲してるんス。俺は反対したんスよ?ちゃんと素敵な女性と出会って、みんなに祝福されて結婚してくださいって。ぼろぼろ泣いてたけどね。そしたら先輩、お前以外は考えらんねえよって抱きしめてくれたんス。嬉しかったなあ。結局先輩がてきぱき部屋借りて、一緒に住んでるんスよ。
 俺はモデルからタレントになって、テレビに出させてもらえる事も増えたんス。そのことはとっても光栄だし嬉しいんスけど、やっぱり家にいれる時間が少なくて。だからオフの日が被ると一緒に映画みたり、二人でゆっくり過ごしてるっス。
 それでね、先輩はなんとプロのバスケ選手なんスよ。名PGなのは変わらず、身長は今とあんまり変わらないんスけどね。でもターンアラウンドもフェイダウェイジャンパーも今よりずっと上手くなってて、笠松先輩に憧れないバスケファンはいないってくらい。
 笠松先輩はナショナルチームにも選ばれて、28歳でキャプテンになって、アジア選手権に出場したんス。もう何年も表彰台上がってなかった日本が、この世代は本当に強くて、速くて。


 優勝、したんス。先輩の率いる日本代表が。
 

 俺もいないし、武内監督もいない。森山先輩だって小堀先輩だって、早川先輩も中村先輩もいないけど、それでも先輩、優勝したんス。勝ったんスよ。先輩が勝ったんス。先輩が勝ったんス。


 だからね、今はいっぱい泣いて、絶対バスケ嫌いにならないで。先輩は強いんスよ。俺は知ってるから。


 「っは、ごめんな黄瀬、後輩に変な気ぃ使われるようじゃ、俺もまだまだだな」


 ねえ先輩、絶対、先輩は強いんスからね。




超個人的に公式前に覚悟を決めてその時が来たら笑ってお疲れ様を言おうぜ企画その3
おかしな電波を受信するほど先輩を愛おしむ黄瀬
130203




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