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重ならないまま溶けた景色

「なかむあ…なあ、なかむあ」
「うん」
「おえ、おえたち…勝てなかった…!」
「うん」
「おえっひっおえ、う、うぅあ…!」


泣いた。泣いた。チームメイトが泣いた。友達が泣いた。恋人が泣いた。涙を止めたいのに手を伸ばせない。
だって俺達頑張ったんだ。早川は頑張ったんだ。笠松先輩も森山先輩も小堀先輩も黄瀬だって監督だって試合に出てない皆だって、海常全部が頑張ったんだ。頑張っても、勝てなかったんだ。


「おえたち、去年、主将っぜ、ぜったい勝とうなって!約束したっ一緒、試合出て勝とうって、ぇっうぇぇ」
「ああっああ!俺っごめんなぁ…スタメンなれなくてっ先に約束や、破った!ごめん早川!ごめんっごめん」
「なかむあぁ、おえ、お前と一緒にっうあっああ、ひっぐぅ…勝ちたかったんだぁ」
「俺っもっと一緒にお前とコートにいたかった…!もっと、せんぱ、い達と、先輩達とゆうしょっぁああ!」


たまらず、俺の目からもぼろぼろ涙が溢れて落ちる。涙に合わせてしゃくりあげ、みっともなく喘いだ。
俺は早川と同じところで戦えなかった。それでもほんの一瞬、ただ一瞬、俺は海常の選手として役に立てただろうか。
守れなかった約束も、今となっては悔しさと虚しさを残すだけ。俺の右手に重ねられた早川の左手が妙に重く熱かった。


「っおえ!あいねんは絶対勝つ!なかむあと、皆と絶対勝って、おえたちは弱くないって、海常は強いんだぞって証明すうかあな!」
「ああ!俺は絶対スタメンなって、お前と一緒に海常を優勝させる!先輩に胸張って勝ちましたってっ絶対言うから!」


重ねた手を強く握りしめて、遠い夜空に向かって決意を叫んだ。
一年先、こいつの隣で笑って泣けるように。




超個人的に公式前に覚悟を決めてその時が来たら笑ってお疲れ様を言おうぜ企画その2。
仲良し中早
130125




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