JuneBlind | ナノ






僕が君のためにできること

だから切った。
だから捨てた。
だから殺した。
室ちんがいらないって言うから。自分に無いものが憎いって言うから。


「痛いかい?」
痛いよ。
「苦しいかい?」
苦しくないよ。
「抱き締めたいな」
腕がないからムリだよ。

うまくバランスが取れなくて揺れる。
ねえ室ちん、今の俺はちゃんと好き?俺は好きだよ。今の俺となら辛くないでしょ。抱き締めてあげられないけど苦しめたりはしないでしょ。

「お前に、俺はなんてことをさせてしまったんだ」
「平気だよ。痛いけど、やっぱ痛くねーし」
「アツシ…」
「室ちんが言ったんだよ。こうすれば気兼ねなく俺の事好きでいられるって」
「ああ、もちろんさ。好きだよ…愛してる」
「俺も」

抱き締められない代わりにかがんでつむじに頬を擦り付ける。バランスをくずして転んでしまった。袖がひらひら。どうしよう、室ちん下敷き。息が出来ないみたい。
俺は慌てて起き上がろうとしたけど、腕がないとちっとも体が持ち上がらない。しょうがないからごろりと横に転がった。

「本当に、痛くない」
「もう。室ちんは気にしなくていいって言った」
「…」
「あのね、俺こんなんじゃなんにも食べられないから」
「…そうだね」
「室ちんが食べさせてくれるでしょ」
「ああ」
「着替えるのもできないし体洗ったりもできないし電話だってできないよ」
「…ごめん、ごめんな」

バスケなんてもちろんできないから。

「だから室ちん、全部やってね。一生だよ、俺が死ぬまでずっとだから」
「…もちろんさ!」

だから腕を切った。
だから未来を捨てた。
だから才能を殺した。
室ちんがいらないって言うから。自分に無いものが憎いって言うから。
だから腕なんてなくったっていいよ。




冒頭の文章にすごく見覚えがあるのですが、どこで見たのかさっぱり思い出せません...。(最低)
誰か他の方の書かれたものでしたら連絡をください。
130626




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