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ほんとのことはわかってないの




日差し、熱を持つ砂の粒。埋まる足。生ぬるい風。青と青の境界線。
全てが全て自分たちのためにあるような気さえしたのはもうずいぶん前のことのような。


「かいがあみっけた!!」

声変わりのすんだはしゃぎ。体育館いっぱいに響くだろう声量。

「迷子になるなよ早川ぁ」

あの頃と変わらない。優しいくらいの怒鳴り声。

「見ろ小堀!あのパレオの子可愛いぞ」
「指を差すなよ、指を」

このやりとりをもう何度聞いただろうか。

「どうした、黄瀬」

汗だくになって、帰るベンチはもう自分たちのものじゃない。



戻りたい、といえばそれは違う気がする。だからと言って懐かしくないだとか未練がないだとかそんな薄情なことも思っていない。
歓声。骨が軋む。全身からふきだす汗。熱くなる頭。喉を通る冷たさ。
全部、全部全部覚えてる。
陳腐かもしれない激情。波の満ち引きにも似た激しい鼓動。


何か確証はないけれど、確信したんだ。
自分とこの人達とあの場所できらめき。



「大好きっス、みんなみんな、大好き」


あまりにもありふれた、これが俺の全部なんだろう。




海(常)の日に愛を込めて。
わかってないのはお前だぁーッ
140721




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