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浮ついてないのに恋心

「手を繋いだら、浮気だからな」

何の冗談かとも思ったけど、それでお前が満足ならと頷いた。
よくよく考えてみればおかしな話だろう。ばかばかしい。
なんせ俺はスキンシップを好む性質ではなく、むしろ横で大人しく笑っているのが常だ。パーソナルスペースだってそれなりに狭い。それは森山も知っているはずだし、要はそんな些細な触れ合いですら俺には許されていないという、警告。


初めのころは他校の選手と親交の握手を交わすのでさえびくついたものだ。そのうちに試合後の森山が俺にかまっている隙がないと気付いてからは気兼ねなくやらせてもらうことにした。
期待させたきり、それだけという態度は正直どうかと思う。けどそれもまた森山だった。


どこからが浮気なんだとは考えた事はなかったけどクラスの女子が姦しく騒ぎ立てる浮気の定義はなるほど理解できない。キスしたら、抱きしめたら、繋がったら、心をゆるしたら。そもそも心って見えるもんでもないから好きな人には行いで示すんだろうと、恋人がいないなりに思ったこともあったなあ。


森山はそれが最低限だって俺に委ねてくれたのに、全く俺も馬鹿だよ。


「時効とかないの」
「ない」
「お前はあっちへふらふらこっちへふらふら、浮気…みたいなことしまくってたのにな」
「俺のあれはライフワーク。浮気になるだなんて、約束もしてない」

普通の恋人はどこからが浮気だなんて口約束交わさないで、自然相手を思いやるもんだよ。俺達には通じない常識ちらつかせても無駄か。

「もうだめ」
「だめ」

あーあ、俺、こんなところでフラれるとは思ってなかったなあ。




好きになった俳優さんがとんでもなくめんどくさ可愛いこと言ってたので
140629






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