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カトラリー狂想曲

これの黄瀬サイド






自分が所謂ゲイだと気づいたのが高校の頃。正直な感想はまあそんなもんか、一言。
事務所の先輩達にマワされてドM開花したのがきっかけだと思う。女の子相手に踏んでくださいなんて言えないし。結局欲求を満たすうちに同性に転がっていった。

森山先輩はバイセクシュアル。でも女の子大好き。高校の時にふとしたことでお互いの性癖がバレて、お試しにやってみたら相性が良かった。そんな感じ。
そんな最低な始まり方のくせして俺だけはまともな恋心を育んでしまったり。馬鹿だ。わかってたけど。


俺とヤった後に「処女としたい」なんてセリフお決まりなのに。それでも先輩は頻繁に俺の事抱いてくれる。その度に切なくなったり、でもまだ好きだったり。
セフレとしてじゃなくて、バスケ部の先輩としての先輩はもう格好いいなんてもんじゃなかった。先輩が卒業しても慕う気持ちは消えたりしなくて、高校卒業したら即一人暮らしのアパートに上がり込んだ。
先輩に尽くしてるうちにこっち向いてくれないかなーと淡すぎる期待を抱きながらもう3年目。そろそろ諦めもついてくれないだろうか、俺の恋心。体に反してピュアすぎるぞ。




「イケると思った…っていうか絶対イケたって…」
「あーはいはい、はいはいはい」
「黄っ瀬ぇ!」
「もう、なんなんスかもう!森山先輩!」


この飲んだくれ!
今日も今日とて空ぶってきたらしい先輩は家で晩酌。今晩の慰みの相手に俺を選んだようだ。単に外でヤってくるのが面倒臭かっただけかもしれないけど。ちょっと嬉しい。でも飲みすぎを許すような俺ではない。だって先輩に早死して欲しくないし。


「俺の運命の子…早くみつかんないかなー」
「そーっスね」
「やっぱ可愛い子がいいなー。処女なんだろーなー」
「そーっスね」
「黄瀬聞いてる?」
「そーっスね」
「あ」
「あっ」


ジトリとした視線を右手で覆って遮断。
あーあ、俺だったら。俺だったら胸はないけど初に恥ずかしがれるし血はでないけどキツく締め付けてあげられるのに。
どうして俺の事は眼中にないんだろ。なんで見てくれないの、女の子じゃないから?バイのくせに贅沢な。俺とヤって充分満足できるくせに。


「…んー黄瀬ぇ…」
「…森山せんぱーい?ちょ、ここで寝ないでくださいっス、誰が運ぶと思ってんスか」
「きーせー」


揺さぶりも虚しく、なんとも形容し難い笑みを浮かべて完全に寝落ちされる。困るんだって、そういうの。


「…先輩?」


頬をつつけども反応はなく。安らかな寝顔に鳩尾のあたりがぎゅうっと苦しくなる。
先輩が目を覚まさない事を祈りつつ、報われない恋にキスをした。




森山は黄瀬見ません。
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