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残骸

こんな風になりたかったんだっけ。何度も繰り返した自問。そろそろ答えを出さなきゃ、手遅れになっちゃうなあ。
ぼんやり考えていればあっという間に一日が終わって、一週間が終わって。ああもういっそこのままでいいのに、そんなことしたら絶対に自分を許せない。


「別居しよう、青峰っち」


うっわ、間抜けヅラ。でもそれもすぐにキッと鬼みたいになって、俺は続きを言う前に胸ぐらを掴まれて押し倒された。その怖い顔、俺が一番嫌いな青峰っちだ。


「俺もう耐えらんないんス」
「おい黄瀬!」
「これ以上青峰っちのバスケを縛るのは耐えられないんス」
「…は」
「知ってるでしょ、俺、あんたのバスケが好きなんスよ。こんなところで腐らせたくない。…アメリカでもカナダでもスペインでも、どっかいっちゃえばいい」


折角プロになれたのに、これじゃ中学のときと一緒だ。腐って鈍って光れなくなる。そんな青峰っち誰が好き好んで見たいなんていうんスか。一緒にいられなくなったっていいから、俺は輝いてる青峰っちが見たい。


「…行けるもんならとっくに行ってたよ」
「は?あんたの実力ならどこだって行けるでしょ」
「そうじゃねえよ、そうじゃなくて…お前の事置いていけない」
「っ桐皇行ったくせに!!」


腹筋を使って思いっきり頭突きをかましてやった。効果抜群だけど俺だって痛かった。


「行ったけど!今はほとんど毎日お前の顔見てっから離れらんねんだよ!わかれボケ!」
「俺のせい?!あぁもう!こんなことなら同棲しようって言われたときに断って置けば良かった!!」
「はぁ!?泣いて喜んだのはテメエだろ!!」
「うるさい!知らない!」


せっかく人が踏ん切りつけて別れようとしたのに。俺がどんだけ悩んだか知らないくせに。お腹の中がもやもやして青峰っちの脛を蹴った。それでももやもやは晴れなくて、怒っているのか嬉しいのかは自分でもよくわからなかった。




某方に贈るはずだったものの残骸。惰性すぎて恥晒し。
130327




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