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ドラッグストアの魔法

いつも来ている薬局なのに、目的が目的だけに緊張してしまう。別に、恥ずかしいことではないはずだ。なんとなく周りの視線が気になって隣を歩く宮地さんに身を寄せた。

宮地さんは慣れた様子でカゴを取って売り場を進んで行く。190越えの宮地さんがカゴを持つと、ミスマッチでちょっとくすっとくる。でも格好良い。


「(どういうのがいいかわかんないな…)宮地さん」
「ん?あー適当にオススメの買ってきゃいいだろ」


ぽいぽいと、ゴムだとか、ローションだとかをカゴに入れていく。うわぁ、うわぁ…なんだか生々しい、すごく大事なことだけど、全力で目を背けたい。


「…慣れてるんですね」
「童貞だよ」
「え!?」
「そんな驚くことじゃねえだろ。画面の中はオカズにできてもやれねえっつの」
「あ、はぁ…」


アイドルだけに愛を取るってか、おっと今の全然面白くないぞ俺!


「他に買うもんねえよな、レジ行くぞ」
「あっと、あ!」
「なんか欲しいもんあったか?」
「えっと、リップクリーム」


最近切れた唇を指差して宮地さんの方に向ける。顎を掴んでくいっと上を向かされると、言いようがないほどドキドキした。宮地さん、屈むから、顔近っ!


「舐めたらダメなのか?」
「唾液の消化酵素で余計乾いちゃうらしいです」
「アミラーゼ?」
「さあ、そこまでは」
「ふーん。おー、結構種類あるんだな」
「ですね、緑の奴しか知らなかったです。女の子が書いてある」


カラフルな商品がいっぱい並んでいて、どれがいいのか全くわからない。変にこだわらないでやっぱり無難に緑の奴を、と思ったけどそれすら見つけられなかった。適当に端から手にとって説明を見ていく。


「あ、宮地さん、俺これにします」
「どれ?...はちみつの匂い?」
「宮地さんの髪と同じ色だなと思って」


流石にこじつけすぎて寒々しいだろうか、反応がないことを不安に思っていると頭をがしがし混ぜられた。
どうやらお気に召したようだ。




童 貞 ^ω^=^ω^
宮月興味津々で書いたわ。誰かおうち編を書いてくれ。本番。
130321




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