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学校の際

はるかなる 望みを胸に
つどい来し 我ら若人
いつしかも 学びを終えて
おのがじし 世に出ずるかな



「卒業、しないでよ」

室ちん。

ほとんど閉じかかった眼をこちらへ向けずに呟く。
寝転んだ枕元にはだらしなく食べくずが散らばっていた。

「どうして?」
「おれ室ちんの、そういうの聞くところだいっきらい」
「俺は敦のそういうところが愛おしいよ」

間髪入れずにお菓子のごみが投げられた。伸びない飛距離。捨ててやろうと拾いに近づくと避けるように寝返りをうたれてしまった。

さて、敦が機嫌を損ねた理由はなんだろうか。卒業式中に歌う賛美歌を口ずさんだことぐらいしか思いつかないが、そもそも俺の卒業は一年先だ。

「あと一年あるじゃないか」
「あるよ。でもそうじゃなくて」
「あんまり俺は、気が長い方じゃないんだけどなあ」
「…室ちんってホントにイイ性格してるよね」
「ありがとう」
「褒めてないしー」


考えるより聞いた方が手っ取り早い。俺のこと好きならそれくらい当てて見せてよと言わんばかりの視線は無視して喋らせる。


「んー、あと一年あるけどさぁ、でも室ちんがいない一年もあるんだよ?」
「それはそうだ」
「それって寂しいし。だから留年してよ」
「無茶言うなよ。第一お互いの人生の中で一緒にいない一年の方が圧倒的に多くなるだろ?」
「…きらい」

敦は寂しがりだなあ。そっと頭を撫でてやればいやいやと頭を振る。

「賛美歌の続き、歌おうか」
「やだ」
「じゃあ歌詞、聞いてよ。いくとせの友のまじらい、いつまでもこころに残らん。って」
「友達じゃねーし!…神様、信じてもないくせに」
「まあね」

俺がいなくても寂しくて死んだりしないでね。笑って旋毛にキスをすると、それはこっちのセリフだと怒られてしまった。



先輩卒業おめでとうございます…!五年間見守ってきた先輩が卒業しちゃう…どうせ同じ敷地で生活するけど…。
聞いて驚け。在校生の送る歌はラテン語。
賛美歌439番引用。カトリックも多分これうたうよねー!むしろこれしかないよねー!知らんけど!
140301




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