ジェリーフィッシュの告白 たゆたうように生きてきました。 押し流されて生きてきました。 決して流れに逆らわず、しんを持たずに生きてきました。 いいえ、そもそも生まれたことでさえ、生まれさせられたことなのですから。 ぼんやりと、周囲の色も形も分からないまま(それでも問題はなかったのですけれど)。 近づかれては傷つけ、触れられては崩れを繰り返していたのです。 ですからもちろん、こんな熱量など知らなかった。 「心臓がないんス。ぽっかり。ゼラチンが心臓のあるはずの箇所を埋めてるんス。心臓がないなんてあんまりだ」 「黄瀬、心臓がなくったって生きていけるんだ」 「生きて、いたって。愛の証明にはならないでしょう。早まる鼓動がないんスから、ねえ先輩」 ぼろぼろ、ぼろぼろ。体の崩れる音。涙が零れる音。目なんかないのに。 生殖器なんて四つだろうと一つだろうといらなかった。だってどうせ実を結ばない。愛。 これ以上俺に何を落とせって言うんですか。 与えられたいと願うのは、そんなにもいけないことですか。 「心臓がなくったって、死は訪れるんだ。黄瀬」 「っ、ああ、うああ、うわあああん!」 あなたと生きる心臓がほしいだけなのに。 黄瀬くらげ。中/島/愛は全く関係ないやつです。 130715 |