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ここには窓がない

※同棲
※森山(23/院生)黄瀬(21/モデル)






酒が抜けない体をゆらりと寝床から起こす。今、何時だ。
時間の感覚も飛ぶほどの睡眠は毎晩のように繰り返される合コンの疲労から。わかっていても止められない。運命の人に出会えるまでは、出会いを求め続けなきゃいけない。これ俺の宿命ね。


「あ、森山先輩起きたんスか?」
「おー、仕事?今から?」
「ちょ、近づかないでください、酒臭いっス!アンタ昨日どんだけ飲んだんスか!!」
「…わかんね」
「ったく…サンドイッチ作ってあるんで、ちゃんと食ってくださいね」
「ん、ありがと。いってらっしゃいダーリン」
「キモイっスから」


全くつれない奴だ。
高校時代の後輩(しかもデルモ)と一つ屋根の下(マンションだけど)に暮らしているのにはワケがある。
というほど一緒に住まなければいけない理由なんて一つもない。
ただお互い女癖が悪くて、いつの間にか女じゃ試せない事をするようになって(えげつないプレイとかね)、高校卒業してしょぼくれた一人暮らしの俺のもとに黄瀬が上がり込んで来ただけだ。理由は一切不明。
別に可愛い後輩を追い出す理由もなかったし。ただ狭いアパートじゃ男二人は厳しかったのでまあ折半なら、とそこそこのマンションに移り住んだ。ここまでたった二週間。


何事も楽しければいい、なあなあでいい。そう思うようになったのはそうしておけば馬鹿な女くらい簡単に引っ掛けられるから。でも黄瀬と違って俺は一回寝て捨てたりしない。ストックがないから。やっぱ溜まるもんは溜まるし。なら運命じゃなくても可愛い子とヤってた方が断然気持ちいい。


あーあ、何年か前は婚前交渉はロマンがないーとか言ってたのに。人って変わるもんだ。

妙な切なさを覚えてリビングへ向かうと白い皿に乗ったサンドイッチがラップに覆われて、俺に食べられるのを今か今かと待っていた。なんてな。こういうの、嬉しいとも思うしちょっと黄瀬って便利だなとも思う(ここだけの話)。
だってそうだろ。やっぱ釈然としないもんだ。高校時代にも黄瀬が懐いてたのはどっちかって言わずとも笠松だったし。なんで俺?ってなるだろ。性癖を晒しあった仲だからだろうか(黄瀬はドMで俺は処女フェチ)(初な女の子ってたまんない)。


考えてもわからないものはわからないので、しおれたレタスが挟まれたサンドイッチを咀嚼した。




121218



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