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男子高校生のお悩み

「死にたい」

森山の唐突な一言に笠松と小堀は目を見開く。
二の句を待つ笠松は今度はなんだと顔をしかめ、小堀は小さな子をあやすように森山の頭を撫でた。


「俺もう生きていけない」
「突拍子ねえなぁお前は」
「なんでそうなったんだよ、森山」
「…に、ニキビできたぁ」


わああと絶叫をしながら森山は前髪を払う。よくよく見れば白い肌にぽつりと赤いできものができていた。何の変哲もない、ただのニキビだ。


「…それだけか!!」
「それだけとはなんだ!ニキビだぞ!?ニキビ!」
「ただのできものじゃねえかよ!大げさだなお前は!」
「かっ笠松はニキビできたことないからそんなことが言えるんだぁ!」
「まあまあ二人とも、落ち着けって」
「これが落ち着いていられるかよぉ…」


森山は机に突っ伏してめそめそ嘘泣きを始める。
男子高校生が死を決意するにはあまりに理解できない理由だった。特別何もしていない笠松は健康的な生活を心がけているためか、ニキビなどとは無縁だ。小堀は小堀でニキビができたとしても気にするような性格ではなかった。


「前髪邪魔なんじゃねえの?ばい菌入ってばっちいって。切っちまえよ」
「このさらさらヘアーが失われることをお前はなんとも思わないのか」
「鬱陶しくなくなっていいな」
「畜生笠松め!」
「お菓子とか食べ過ぎたんじゃないのか?あ、ほらこの前バレンタインだったし」
「モテる男は死ね」
「…あ、悪い…森山」
「まさしく普段の行いの悪さが出たな」
「…あああもう嫌だニキビなんて気になるし痒いし格好良くないし」
「諦めろって」
「ニキビは青春の象徴って言うし、な?」
「うるさい小堀!青春の象徴は彼女だ!!」




平和だ。




笠松先輩にばっちいって言わせられて満足。
130315




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