くださいな 森山先輩の左手がすっと差し出される。何かと尋ねれば「おたんじょーびプレゼント。くれるんだろ」なんてふてぶてしく言い放った。 もちろん用意してる。用意はしてるけどもう少しねだり方があるでしょう。それを言えないのは多分惚れた弱みってやつで、ドヤ顔すらも愛おしく感じるから。このままプレゼントを差し出すのはどうしても癪だけど。 「いいんですか?片手に乗るくらい小さいので」 「え、何、でっかいものくれるの?」 「さあ、例えば?」 「…『プレゼントはお・れ!』とか?」 ばっちりウィンクでピンクのハートを飛ばされる。下手な声真似はあえてスルー。っていうか、そういうのはアンタの得意分野でしょ。 「まあ、遠からず、です」 差し出されたままの左手に小箱を乗せた。 「…っおま」 ぶわりと赤面した先輩はなかなか言葉を発さない。照れすぎでしょ。 「結婚、しましょうか」 「〜っ中村!」 「なんですか」 「大好きだ!!」 「はいはい、知ってますよ」 「このやろおぉ」 精一杯抱きつかれて首に顔を埋められる。さらさらの髪の毛がくすぐったいなあ。 「末永くよろしくお願いしますね、由孝さん」 なんだこれ 130308 |