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ぶるぶる

「あーさみぃ」
「雪降ってりゃさみーに決まってんだろ」
「森山は天気予報見なかったのか?」


悪態をついても体温が上がるわけもなく。吐き出す息の白さが憎い。
なんたら低気圧のおかげで神奈川にも雪が降り積もった。朝軽く降っていただけだから、と甘く見たのが間違いだった。装備はいつものコートにいつものマフラーだけ。しもやけなんて許されない手はポケットに突っ込んだけど、それでも凍るように冷たい。


「あーあ、お前ら完全防寒じゃん。羨ましい。その手袋由孝にちょうだいよ!」
「うぜえ、きめえ」
「手袋はちょっとな…」
「なんだよ冷たい!凍えてるチームメイトが可哀想じゃないのかよ!人でなしめ!」
「そんだけ騒げりゃ元気だろ」


自業自得だと言わんばかりにずんずん進んでいく笠松。人の良さそうな笑みを浮かべるだけで何をするでもない小堀。
冷たいよお前ら、今踏みしめてる雪よりきっと冷たいよ。畜生明日二人共氷で足滑らせて転べばいいのに。
ていうか一連の俺の叫びがまるでなかったかのように古典の課題の話すんのね。それ明日提出のやつでしょ俺も混ぜてよ、古典は苦手なんだよ知ってるだろ!


「なーなー笠松、小堀ぃ」
「いっ」
「おわっ」


奇襲作戦成功。
俺が放った雪玉は見事に振り返った二人の顔面クリーンヒット。流石だろ、俺実はバスケ部なんだよ。でも手袋がなくてさ、ちょっと自滅した感が否めない。良かったら君の愛らしい手で温めてくれ


「こぉんの馬鹿野郎!なにすんだコラァ!!」
「ぎゃあああ笠松タンマ!反撃禁止!待ってって、手袋はずるいって!」
「あ、あー…二人共風邪は引くなよー」


平和だ。




平和だ。
130120




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