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ふたりぼっちの午睡

部屋に入った途端篭った空気がまとわりつくようで、本来の目的も寝起きの掠れた声も無視してベッドに乗り上げ窓を開けた。新しい空気が入ってくるのは良かったけれど、ずっとぬくぬくした空気に包まれていた奴にはこの風は冷たすぎるだろうからほどほどにして窓を閉めた。


「なかむあ…?」
「中村。体平気?キャプテン怒ってたよ、体調管理ぐらいできないのかって。心配してた」
「うぁい…」
「これ小堀先輩と森山先輩からゼリー」
「あいがとう」
「元気になったらちゃんと本人達に言ってね」
「う」


ベッドの縁に腰掛けて右手の甲で頬をなでる。
見た目の赤さに違わず頬は熱を持っていた。しっとりと貼り付いていた髪の毛もついでに避けてやれば、にやにや締りのない声で「あいがと、なかむあ」と笑う。


「言えてない」
「いはい」
「…」


同級性の笑顔に戸惑って、両頬をつねって伸ばした。


「馬鹿は風邪ひかないって言葉、信用ならないよな」
「おえはバカじゃないぞ」
「馬鹿だよ、馬鹿。ばーかばーか」
「おえはカバでもない!」
「…ふっはは」
「わあうな!!」


恥じらいで顔を赤くして口を尖らせた。小学生みたいな早川がどうしようもなく愛おしくなってしまう。覚醒してきたのか普段の通りとは言えないものの大きな声が出てきた。


「もう寝ろよ、悪化する」
「おう」
「おやすみ早川」
「…おやすみなかむあ」


頬に当てていた手に手が重ねられて、傍に居てくれと解釈してもいいのだろうか。
聞くべき相手は既に落ちた。




アニメが始まるまで早川の()は促音だと思っていました。まさか母音とは…。あざとい。
121226




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