▼ 高尾と緑間
朝はどうしても駄目だった。その苦手意識すら俺を蝕む程に。
『6時30分、おは朝占いのコーナーです!』
陽気な音楽、能天気なキャスター、タイミング悪いなぁ。
ソファで寝落ちしてつけっぱなしだったテレビに起こされる朝。朝。机にはビールの空缶。俺はワイシャツのまま、寝汗でべたべたして気持ち悪い。気持ち悪い。
「サイアクだ」
蟹座が一位の土曜日。蠍座の運勢が流れる前にテレビの電源は落とした。どうせ今日は最下位だろう。
情けないなあ。
くたびれた自嘲の笑。もう何年だ。眩しくて楽しくて苦しかった高校生活からどれだけ時間が経ったと思ってる。毎朝怖くてテレビをつけられないなんて。思い出すのが辛いから目を背けるだなんて脆弱だ。
彼は今日も、幸せだろうか。
2013.06.21 (Fri) 23:17