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小森

「魂って21gらしい」

森山の言葉は大抵が伝聞で、不確定で軽かった。迷信だって飛び出すし昨日のプロ野球の結果を話した次に飢餓で苦しむ子供の書いた詩を詠んだり、雑然とした誰かの経験が森山の言葉はだった。案外俺はそれが嫌いじゃなかったけれど。

「根拠は?」
「死んでから量った体重は生きてた時より普通21g軽いんだって」
「へぇ、それ、なんの重さなんだろうな」
「だから魂らしいんだって」
「らしい、なんだろ?」
「ああ」

森山は人が知らないだろう知識を得意になってひけらかしたりしない。確証が無いことに勝手に答えを与えない。不安なままそんなこともあるかもしれないと教えてくれる。
きっと俺はそんな傲らない言葉が好きなんだろう。


2013.05.27 (Mon) 20:02




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