稲妻 | ナノ




※誕生日捏造




 この間、久しぶりに図書館へ行った。俺は本を読む量自体は少ないけど、本を読むことは好きだ。本によって色々な世界に行ける気がするし、なにより勉強になるのだ。おかげで学校のテストでは国語の順位だけだと20位以内は常だ。他は…まあ、からっきしなのだけれど。そういうわけで俺はまた読書をするための本を探しに図書館へと行ったのだった。

 その時に借りた、何万冊もある中で目に留まった『星図鑑』という本。あまりにストレートすぎるタイトルと、濃い青に白や黄などの星で彩られた綺麗な表紙が印象的だった。

 内容を読むとさらに夢中になった。物語調で色々な星や星座について語られており、付録には星座の地図や星占いがついていた。後から思えば、あれは女性向けの本だったように思う。その件については面白かったからまあ良しとする。

「何読んでんだ、立向居?」

 読むのに夢中になって、綱海さんがすぐ近くまで来ていることに気が付けなかった。ちなみに今は移動のためキャラバンのなか。「よく酔わねえよなあ」と綱海さんは感心している。

「これです。綺麗でしょう」

 本を閉じて、表紙を綱海さんに見えるようにした。綱海さんは目をきらきらと光らせ、一瞬のうちに心を掴まれたのか表紙を一心に眺めている。ああ、この顔は俺がこの本を見つけたときと同じだ。共通点が見つかって嬉しくなり、思わず頬が緩みそうになった。

 綱海さんはふうん、とかへえ、とかを呟きながら、時折見入るようにページをぱらぱらとめくっている。

「あ、綱海さんて何月生まれでしたっけ」

 ふとそう思って、本を受け取る。綱海さんは何でだ? と言わんばかりのきょとんとした表情で首を傾げながらだが答えてくれた。

「8月だけど」
「ああ、ぽいですね」
「ぽいって何だよ」

 そう言ってからからと笑った。綱海さんは夏生まれっぽい。明るくて、太陽みたいで、あつい。冬生まれなんて聞いたら盛大に驚ける自信がある。まあそれはそれで面白いかもしれないけど。

「そういう立向居は何月生まれなんだ?」
「俺ですか? 俺は10月ですけど」
「おっ、そりゃ意外だな。春生まれだと思ってたぜ」
「そうですか?」
「おう、なんかあったけえしよ」

 あたたかい? よくわからないけど褒め言葉…だよな。冷たいって言われたら悲しいし、ましてや綱海さんが厭味を言うなんて絶対に考えられないし。

 巻末についている星占いのページを開いて、綱海さんの星座と俺の星座の欄を見比べた。

「あ、俺と綱海さん。相性良いみたいですよ」
「はは、やっぱりなあ」

 暫く星座占いの話で盛り上がった。あの人とあの人の相性がいいとか悪いとか、あの人の性格はこんなのだったんだ、とか。

 こんなところで言うのはなんだけど、俺は生まれた月やら星座で性格とか相性の良し悪しが決まるなんて思っていない。占いは小さな娯楽として見ているだけで、信じちゃいない。それでも、やっぱり楽しかった。

君と一緒なら
(なんだって楽しいんです)

「あ、この星座見てみてえ」
「夏ですよ?」
「俺の! 星座!」
「……来年、一緒に見に行きましょうか」
「ああ、約束だな!」



…………………………
7500hitキリリク文です〜!タスキさんのみお持ち帰り可。立向居の誕生日は10月だと思うんです…私だけか。

本を読むだけで国語の成績が上がるのはガチだと。実際私毎回国語は勉強無しで常に20位以内ですし…自慢です

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