稲妻 | ナノ




※よくわからないパロディ
※暗いです




「君は僕のものなんだよ」

 聞こえない。鳥の鳴く声も、風で木々がざわめく音も、水の流れる音も。

 見えない。よく覚えていないけれど青いはずの空も、緑色だったはずの木も、綺麗な黄色だったはずの向日葵も。

 聞こえない、聞かせてもらえない。見えない、見せてもらえない。

 俺は、どこかの地下室に閉じ込められていた。ずうっと長い間、もう何日間だとか何ヶ月間だとかも覚えていない。視界に入るものが殆ど変わらない所為でその時間は永遠にも感じられた。とにかくずっと長い間なのだ。

 俺が閉じ込められるまでに至った経緯は長い時間のなかですっかり忘れてしまった。しかし、最後の最後にだれかが「ごめんね、ごめんね」と泣きながらに一生懸命俺に謝っていたのだけは記憶している。いつも俺を怒る役だったはずのだれかが、一生懸命に許してくれと縋った。あんなの、初めて見た。忘れられるはずがないのだ。

 そんな事を考えていると、ふといつ会ったかもわからない仲間のみんなの事を思いだした。ヒロトは今でも円堂のこと追いかけてんのかな、とか、風介の中二病は治ってないのかな、とか。考えれば考えるほどに、泣けた。

「晴矢、ご飯だよ」

 一日に四回くらいだけ顔を出すゴシュジンサマは俺のことをそれはそれは大切にしている。と、一日に六回くらい顔を出すゴシュジンサマのメイドがそう言っていた。そのゴシュジンサマの口から直接聞いた事はないけれど、確かによく「愛してる」だの「好き」だのを俺に言う。でも、俺には意味がわからない。「愛してる」っていうのは、異性に対してとか家族に対して言う言葉であって、同性に言う言葉ではない、はず。「好き」も「愛してる」と同様である。まあ俺がこの地下室に閉じ込められている間に世の中が変わってしまったのなら仕方ないが。

「晴矢? 食べないの」
「……ゴシュジンサマ」
「なあに?」

 ゴシュジンサマは何故俺に愛してると言うのですか。何故俺はこんなところにいるのですか。

 聞いてしまった、聞いてしまった。あ、やば、また……――。

 パシン。乾いた音が狭い部屋の中に響いた。あ、……痛え。

「晴矢、その事は言わない約束だったよね。…またお仕置き、受けたいの」
「……ひ、」

 押し殺したような声しか出なかった。あの時の、“オシオキ”の光景が頭のなかにフラッシュバックする。あ、ああ、あ、あああ、ああ、ああああああ、あ。

「………ごめ、な、さ……」
「……うん、いいよ。許してあげる」

 わりとあっさり許してくれたゴシュジンサマはそれ以上何も言わず、すたすたと部屋を出て行ってしまった。

 ほ、と安堵のため息を吐いた。

 俺の世界は、とことんゴシュジンサマ中心の世界に作り替えられてしまったらしい。死んじまったんだ、俺は。

君は僕でいっぱいになってしまえばいいのさ
(嗚呼、なんて歪んだ愛情でしょう!)



…………………………
なんのパロディだこれ。照美×晴矢と言う特に今まで見たこともないCPに挑戦……したが大失敗。なにがしたかったんでしょうか、私は。

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