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キンモクセイ(基緑)


こんな毎日もういらない。

学校に行って、勉強して、家に帰る。
毎日同じで楽しくない。
仲のいい友達もいないし、部活にも入っていない。


つまらない……。




学校からの帰り道…甘い香りがした。

「何?」

その香りに誘われるように歩き出した。

香りで頭がクラクラする。強い香りは近づいている証拠だが少しキツい香りだった。
でも……この時間が今日やったどんな事よりも楽しい。



「わぁ…!!」
そこにはキンモクセイの木が1本。
沢山付いたオレンジ色の花から匂う甘い香り。
オレはそれに酔いしれた。

そんな時………

「誰!?」

声の方へ振り向くと赤髪の少年がいた。

「そっちこそ誰?」

少年は申し訳なさそうな顔をして言った。

「俺は基山ヒロト……君は?」
「オレは緑川リュウジ、いきなりごめんな…。」

基山くんは笑ってくれた。

「いいよ。それより何でここに居たの?」

オレは考えた。

「匂いにつられて……かな?」
「俺もだよ。少し前にここを見つけてそれで。」

オレたちは何かを感じた。



運命とか……?



それから2人で沢山話した。
でも、学校については触れなかったな、お互いに。
オレたちはその点でも何かを感じたのかもしれない。
気づけば当たりは夕焼け色に染まっていた。

「俺もう帰らないと。」
「………うん……」

あまりにもあっさりでなんだか悲しかった。

「バイバイ、緑川。」
「バイバイ………」

ゆっくり歩いていく基山くん。
なんだかもう会えない気がしてつい、

「基山くん!!また明日も来るの!」

大きな声で言った。
それに応えるように大きな声で

「多分……緑川は?」
「来るよ!!ずーっと基山くんが来るなら!だから絶対だよ。ゼーッタイ!」
「うん…分かったよ!」

それだけ言うと歩き出す基山くん。オレはその後ろ姿に、


「また明日、ヒロト!」

ヒロトは歩きながら、

「また明日、リュウジ!」

キンモクセイの香りがいっそう甘くなった。


キンモクセイ



…………………………
「宇宙ひまわり」のぐもさんから頂きました。学校で基緑基緑基緑しつこく言ったら書いてくれました。ごめんねー、でもありがとう!

緑川の基山くん呼びが新鮮でドキッとしてしまった…。金木犀好きだから嬉しいですやっばこれから金木犀見るたびに思い出しちまうぜ


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