小さなアパートの部屋一杯に満ちる陽の光が、ぽかぽかと優しげな暖かさを生み出している。そよ風に揺られる洗濯物を眺めながら、ヒナタは眩しそうに目を細めた。

(掃除して、買い物して、夕飯の支度して…)

頭の片隅ではそう考えながらも、良く晴れた昼下がりが誘う微睡みは、彼女の瞼を徐々に重たくし、程良い倦怠感をもたらす。何とも抗いがたいそれに、とうとうテーブルの上にぺたりと突っ伏してしまった。

(もうすぐ、帰って来るのに…)

徐々に傾きつつある太陽は相変わらず温かで、窓の隙間からすり抜ける風が柔らかに頬を撫でる。彼女はその長い睫をそっと伏せて、間もなく静かな寝息を立て始めた。
その日いつもより早く帰宅したキバが、すやすやと眠り込んでいる新妻の姿に思わず口元を綻ばせたのは言うまでもない。


▽キバヒナだと言い張る



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