▽物書きさんに贈るバトン

(鉄)



例えるなら、白。

広げていた深色の纏いを落とした澄んだ空は、凛とした静寂と溢れんばかりの期待でもって彼を迎え入れようとしていた。
誘われるままに大きな茶色の翼を広げ、窓枠を蹴る。見下ろす町の通りに常の活気はなかったが、町を抜ければ森の木々が数知れぬ滴を纏ってきらめいていた。
その奥に、見知った姿を見つけて速度を下げる。遠くからでも見間違うことのない淡い黄色の毛並みは、ゆっくりとした足取りで町の方へと向かっているようだった。闇を住み処とする彼は、おそらくこれから未だ主の眠るベッドへと潜り込むのだろう。
彼女が目を覚まして驚く姿を脳裏に思い浮かべると、小さく笑んで進路を変えた。





1.朝の風景を朝・日・光・鳥の言葉を使わずに表して下さい


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…うっかり鳥書いちゃったけど。
鳥という言葉は使ってないからいいよね。

(090723)