▽物書きさんに贈るバトン

(姫生)




窓から見下ろす街の通りは、まるで大輪の花が咲き乱れているかのようであった。
色とりどりの傘の一つ一つが、水のベールを纏って艶めいた表情を覗かせている。
気付けば立ち並ぶ建物の屋根さえもが、いつもと違う様相で落ちてくる雫に身を任せていた。
その様子がひどく心地良さそうに見えて、姫生は小さく息を吐く。
外に出れば身を打つ水滴に後悔するのは間違いないのだけれど、瞳に映る景色は遠目に見ても美しい。

思わず伸ばした指先は、冷たく硬い硝子に触れた。
耳にさえも心地良い音に目を細めながら、窓に描かれる水の線をなぞる。






9.オノマトペを用いずに雨が降っている日の街並みを表して下さい



ギャロップ♂、姫生。
3の対っぽく。

(090804)