▽響×メイ?(if企画)





(愛鳥週間2014)




陽の差し込む窓際で、何とはなしに空を見上げる。
どんなに高く飛んでも決して染まることのないあの空の色は、一体何の色なのだろうと考える響の視界に、窓の縁に頬杖をつく仲間の長い髪が映り込んだ。

「……メイの色は空の色だね」

これまた何となく、思ったことを口に出せば、声を掛けられるとは思っていなかったのだろうメイが、意外そうに顔を上げた。

「どうしたの、急に」
「別に、思っただけだけど」
「ふうん」

此方に他意が無いことがわかると、「ありがと」と呟いて視線をまた窓の外に戻す。
開け放した窓の外を、南からの風が横切る。
心地よさそうに目を細める横顔を、初めて見た、と響は思う。

「メイって、黙ってると結構きれいかも」
「それって誉めてる?……っていうかどうしたの、今日は」

此方の真意が読めないとばかりに怪訝そうな表情を浮かべるメイの髪を、通りすがる風がふわりと攫う。

「なんか今までこんなに近くでメイのこと見る機会なかったし」
「俺結構メイの歌好きだし、その髪の色も好きだな」

思ったままに言葉を重ねれば、途中でメイがそれまで頬杖をついていた腕に顔を伏せた。
ああ、とかもう、とか呟いた後、ゆっくりと顔を上げて響を見つめる。

「あのさ、僕もしかして口説かれてる?」

あくまでもいつも通りの表情で、それでもその頬はほんのりと上気していて、響は改めて自分の発言の内容に思い至った。
成る程そう取られても仕方ないと反省する一方で、もしかすると彼の云う通りなのかもしれないとも思う。
思案する響に痺れを切らしたのか、メイはこれ見よがしに深いため息をついて見せた。
そして。

「まあいいや。とりあえずキスしてから考えようか」

引き寄せられるままに顔を寄せながら、彼の云うとりあえずの意味をぼんやりと考える。
そんな彼の思考を攫うように、初夏の風が部屋を吹き抜けていった。







***

とりあえず手が出ちゃうメイが書けたので満足です。
いっそもうメイ×響でもいいような気がするけど一応響×メイで。
どっちも思ったことがすぐ口に出る。