▽リョゴヨ







現実主義者の嘘と夢想







「ずるいよ、ゴヨウさんは」

なんでもあげよう、というその言葉が、その実ひどく制限を含んだものであることは、この世の自明の理であった。
幼い頃にはなんとも壮大かつ上等なもののように感じていたそれは、年齢を重ねるうちにどんどんと意味の幅を狭めていき、いまじゃ効率よく子どもに云うことを聞かせるための手段でしかない。

「なんでも、って云ったくせに」

呟かれた言葉は相手を責めるものであったが、その割には小さく、僅かに掠れて此方へと届いた。
私は答えない。
しかしこの場合、答えないというその選択こそが、何よりも雄弁な答えであった。


暫し続いた沈黙のあと、彼はあきらめたように肩を落とした。

「じゃあ……――」

そしてきっと、彼もいつしか大人になってしまうのだ。









***

リョゴヨ、はじめました(爆)
なんかこう、人間的な思考を書きたかったのです。

2007/10/13