▽シンオウ組





(シンオウ組)



「今日は一日、図書館で調べ物をしながら涼もうと思います」

一緒に行くのは?と尋ねられて、皆は揃って顔を見合わせた。
まぁわかっていたことだけれど、とため息をついたしずくが、いつもの注意事項を繰り返す。

「それじゃ自由行動にするけど、くれぐれも他の人たちに迷惑かけないように。あまり遠くまでは行かないこと。夕方、日が沈むまでには戻ってきてること。いい?」
「はーい」

皆を代表して縁とチロルが声を合わせて返事をするのを見て、未だ不安げに眉をひそめつつも、しずくは荷物をまとめて部屋のドアを開けた。
やはり心配だから着いていく、と申し出た馬をボールに収めて(当然のように、館内は火気厳禁であった)、皆の方を振り返る。

「未狭、悪いけど皆のことよろしくね」

最後に云い残された台詞は、未狭にとっては死刑宣告にも等しかった。
一体我が主は自分のことを何だと思っているのだろうか。
しかし、主の云うことに逆らうわけにもいかず、渋々と皆の方へと向き直る。

「……封亜、出掛けるなら行き先を告げるように」

早速とばかりに窓枠に足をかけた封亜に、未狭は一度目のため息をついた。

「……散歩」
「何処へ、」
「…………北西?」

疑問の形をした答えに、つまりは風任せだということを理解して、二度目のため息。
帰って来られるところまでにしておくようにと釘を刺して、窓をくぐる封亜を見送る。と、今度は後ろから声を掛けられて、先程しずくが出ていったドアの方を振り返った。

「未狭ー、ちょっと鋼鉄島行ってくるー」
「ちょっと……?」

ちょっと、の気分で行ける島ではないだろう、と言葉を発したチロルを見遣れば、その隣には当然のように縁の姿。彼が一緒ならば地理に対する相性の面は問題はないだろう。
しかし、彼処への船はそう何本も無かったはずだ。

「……しずくの時計を持っていきなさい。それから、帰りの船の時刻を見ておくこと」
「はーい!」

揃ってよい子の返事をして扉をくぐる二匹を見送って、深いため息。
そういえば彼らは時計の読み方を知っていただろうかと一瞬不安になるも、そこは研究所育ちと街育ち、特に心配はいらないだろう。
さて、と向き直った部屋では、付き合いの長い家鴨が早速ベッドに寝転んでいた。

「お疲れ、母さん」
「……氷牙、嫌な呼び方をしないでくれないか」

サブリーダーはつらいねぇ、と笑う彼には、最早ため息すら出てこない。
不本意な呼び方を諌めながらも、とにかくしばらくは平和だろうと、未狭も氷牙の傍らに腰を下ろした。




++++++
時期外しすみません。二年半くらい温めました←忘れてただけ
シンオウメインパーティー。
例の如く飛行は2ひきいるけど、鳥が一羽もいないのは初めてです(笑
新入り三匹と落ち着いた古株たち。


110225