▽しずくと勇士 (しずく・勇士+α) 「おい、」 突然部屋の奥から聞こえてきた呼び声に、しずくと静華、そして図鑑の説明をしていたウツギは、揃ってそちらを振り返った。 そこにあったのは、自分のボールが置かれた台に腰掛けて、にやりという擬音がよく似合う笑みを浮かべたワニノコの姿で。 「俺も連れてけよ」 そう云いながら台を降りたワニノコが、ゆっくりとした歩みでしずくの前へと進む。 「な、何云ってるの。いくらなんでも急すぎるよ」 「だってよー、他の奴らはトレーナーと一緒にどっか回ってんだろ?」 ここ暇なんだよ、まじで。だから自分も行くのだと云い張るワニノコに、ウツギが大きくため息をついた。 「庭の水やりは誰がやってくれるの、」 「自分でやれよそんくらいさ。ジョウロなら物置にしまってあるから」 「書類の整理は?」 「ボックス毎に分けて入れればいいだけじゃん」 「夜食の準備とか…」 未だ文句を連ねながらも、云い出したらきかない性格と諦めているのか、ウツギの声は力無い。 随分とこのワニノコに頼っていたのだなとしずくが妙な感心をしていると、突然ワニノコがしずくに向き直った。 「なぁお前いいだろ?連れてけって」 損はさせないからさ、という声に、答える返事は決まっている。 「勿論、喜んで」 新しく出会った仲間に向かって、しずくは笑顔で右手を差し出した。 *** 拍手ログ。 しずくと勇士、出会い編。 ウツギ博士は生活能力皆無だと思ってる!萌え! (0911xx) |