▽ケイ×銀









その少女に付いたことに、たいした理由は無かった。




「トレーナー?……あぁ、女の子だよ、18くらいの」

だるそうに髪を掻き上げながらそう云って、出会ったばかりのキュウコンはまた杯に酒を注ぎ足した。
緩んだ着物の袷からは先程触れたばかりの肌が覗いていて、つい、目を細める。

「興味がある?」
「あるね。なんたって、お前みたいなやつが付く人間だ」

見てみたい、と云うと、彼は心底面倒臭そうな表情で此方を見た。

「君が僕のことをどう思ってるか知らないけど、彼女は普通の人間だよ。別に特別な何かがあるわけじゃない」
「じゃあ何で付いてるんだ、」
「さぁね、巡り合わせの妙だとしか」

言葉の最後は既に欠伸交じりで、もうこれ以上話すつもりは無いらしい、一気に杯を傾けると、立ち上がって大きく伸びをする。

「戻るよ」
「俺も行こうかな、」
「やめてよ、マナーの悪い奴はお断りなんだ」
「お行儀良くしてるよ」
「男拾って帰る趣味は無いの」
「拾ったらまた元の場所に捨ててくんだもんな」

そう嘆いてみせながら伸ばした手は、彼に届く前に叩き落とされた。
本当に、アフターケアも何もあったものではない。







2007/03/30

ケイと銀。ケイはぎんたが拾ってきました(笑)