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×― 西と東V ―*


×― 変化する ―


 東の部屋で同居を始めて三ヶ月。
 食費の殆んどを東が負担し、その代わり家事の殆んどを西が受け持つ。そんな役割分担は話し合いなどせずとも自然と決まり、共同生活は順調に進んでいった。

 ベッドは相変わらず二人でひとつ。
 狭いシングルのベッドに大人の男二人で眠るのは、最早慣れ切った行為だった。その上、有難いことにどちらも寝相は良い。
 そうしていつもの様に、西が既に先に眠っている東の横に体を滑り込ませたある日のこと。
 狭いベッドではどうしても密着することになるのだが、東が寝返りを打ったその時、西の腰にいつもなら感じない硬いものが当たった。

「ねぇ、アズ」
「……ん?」
「勃ってるよ」

 えー? と自分でも確認した東は、はぁ、と溜め息をついた。

「あー…わりぃ、最近溜まってんのかも」
「彼女、最近作ってないの?」
「んー? んー、めんどくせぇ」

 寝ぼけているのか東の声は擦れ、西の腰に妙な重さを生んだ。

「アズ」

 勃ってしまっている物を処理するのも面倒なのか、東はまた眠りに落ちようとする。

「ねぇ、アズ」
「んー?」
「俺が抜いたげよっか」

 この時、流石の東も思考をフリーズさせた。

「……はぁ? 何言ってんの」
「ダチ同士で抜き合いって、別に珍しく無いじゃん」
「あー…まぁ」

 珍しいんじゃないか? とも思ったが、東は眠くて頭が上手く働かない。

「俺も今溜まってるからさ。ね、ダメ?」
「……でも、俺ねみぃ」
「アズはそのままでいーから。全部俺がやったげるから」

 西はそのまま返事を待たずに、東の下半身に手を持っていった。

「ッ、ぁ…西、待て」
「良いから、ね?」
「ぁっ、…っ、ふ、ん…」

 既に反応していたそこは、西の指に絡みとられると直ぐに濡れ始めた。
 男同士だからか、彼女に愛撫された時より的確に与えられる刺激に東は耐えきれず西の頭を抱き込んだ。

「ッ、」
「あっ、う…あっ、ぁ」

 抱き込まれた西を襲ったのは、風呂上りで清潔な香りを纏った東の匂いと、信じられない程甘い声だった。
 どれだけ仲が良くても、これ程の近さで東の性的な声を聞いたことは一度も無い。そんな体験をするのは、当然のことだが東の彼女だけだ。
 なんとも言え無いその背徳感は西の理性を大きく揺さぶり、未だ嘗てない興奮の波を引き寄せた。

「アズ、俺も気持ちくなっていー?」
「っ、…んっ、」

 鼻にかかった声での了承を得た西は、無意識に自身の下唇をペロリと舐める。
 そのまま東の上に覆いかぶさるように乗り上げると、西も自身の昂りをスウェットから取り出した。

「ぅあっ! あっ、や…ぃあっ、」

自身の物と東の物を一緒に握り擦りあげると、先ほどとは違う声を東が上げた。
少し力を入れ過ぎただろうか。

「ごめ、痛かった? もう少し緩める?」

 心配になって西が声をかければ、東は薄っすらと膜の張った瞳を開け、赤い舌をチラリと覗かせる。

「いっ、から…もっ…と動けっ」
「う"っ!?」

 東は自分の上に乗った西の腰を、これでもかと言うほど引き寄せた。西は思わず体勢を崩し、両手を東の横へと着く。その瞬間、ゴリっ、と音を立てて互いの昂りが擦れあった。

「ぅあっ!! あっ、ぅ…あっ」
「アズ…」

 西の腰を掴んだまま下で腰を揺らす東は、自身で動いている癖にその刺激が強すぎるのか涙目になる。

「…うっ、んっ、ぅあ」
「アズ、アズ?」
「ん、っ…西…」
「…………」

 西は布団の中で絡み合っていた足を外すと、東の両足を持ち上げ肩にかけた。

「うぁっ!?なっ、なにっ…」
「この方が、上手く当たる、でしょっ」
「なっ、アホッ! だからってこんなっ、」

 ぁあ"っ!! とそれでも良い声を上げる東に西の気分はどんどん高揚した。互いの熱を掴み直し、東の鈴口を指で虐めながら兎に角激しく腰を揺らす。
 その度に激しく当たる互いの睾丸と尻たぶがパンパンと音を立て、耳からも西を昂らせた。
 だが、逆に東は恥ずかしくて仕方なかった。形だけではあるが、これではまるで西に挿れられているみたいじゃないか。

 何やってんだ俺たちは。
 連れとやることか?
 大体これは抜き合いか?

 でも、ふと西の顔を見上げた瞬間そんな葛藤は吹っ飛んだ。

「くっ、っ、…ふっ」

 額には、いつもヘラヘラ、フラフラしている男には似つかわしくない汗がビッシリと張り付いていた。それを拭う余裕も無く、自分の上で必死に腰を振る西。

「あっ、あっ…西、」
「っ、っ、なぁにっ、」
「…き、もちーか…?」

 聞いた途端、重なった西のソレが大きくドクンと脈打ったのが分かった。それを感じた東が思わず笑う。

(西がきもちーならまぁ、いっか)

 そのまま東は全てを西に委ね、快楽に没頭した。






「ねぇ、アズ」
「ん…?」
「気持ちよかった、よね」
「ん」
「眠いの?」
「んー…」

 元々眠さMAXだった東は、激しい動きと吐精した疲れで、もう目を開くことすら出来ない様だ。それでも面倒臭がらず返事を返すそのいじらしさに、西はひっそり笑みを零す。

「……おやすみ」

 遂に眠りへと落ちたのか、今度こそ返事を返さぬ東の額に西はそっと唇を落とした。




 西自身、どうしてこんな事をしようと思ったのか分からなかった。ただ無性に、性を匂わせる無防備な東に触れたいと思ったのだ。

 正直、西は鈍い。
 他人の事情には鋭いが、自分の事となると滅法鈍いのだ。だが、東はそれに輪をかけて鈍かった。
 どうして西が自分に触れて来たのか、どうして自分はそれを受け容れられたのか…なんて。きっと深く考える事もないだろう。

 つまり。

 彼らの関係が大きく変化するのだとしたら、それは今後の西の行動が大きな鍵となるに違いない。


END


あとがき



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