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笑顔の剣


「お前が女だったら良かったのにな」

 ははは、と笑うお前の笑顔が今日も俺の心に剣を刺す。


 もしも俺が女だったら。
 一度くらいはお前の彼女になれただろうか。

 もしも俺が女だったら。
 一度くらいはお前に触れられただろうか。

 もしも、
 もしも俺が女だったら。

 お前への愛を
 少しも隠さずに済んだのだろうか…



 俺の心の傷は深く、全ての血を流しきっていた。
 失う物はもう、何も無かった。


「バーカ、何言ってんだよ」
「だってさぁ〜。俺、お前と一緒に居るのが一番楽なんだもん」
「ンな事言いながら、彼女とラブラブなくせに」
「………」
「ん? どうした?」
「なぁんか、面倒になってきちゃってさ」
「……今の相手がか?」
「いや、女と付き合うこと自体が。もしお前が女だったら俺、絶対結婚すんだけどな〜」


 失う物をなくしたソレは静かに笑う。


「俺も、よく考えるよ」
「えー?」

 そうして笑いながらお前の心に

「もしもお前が…お前が、さ?」






 剣を振り下ろした。







 この一振りはきっと、
 後戻り出来ない傷をお前に残すだろう。


END


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