D


「うん、なかなかだな。辛子マヨネーズも適量だし、トマトもきちんと処理されてるから水っぽさが適度にない。……よくできている方だ」
「『方だ』だけ余計だよ、全く。……けど、それは合格って判断でいいんだよな」
「まあ、段階で言うなら『可』くらいだろうがな」
「……へいへい、それでもお誉めいただきありがとうございます宮様。……榎田くん、君はどう?口にあってる?」



やっぱりイヤミな辛口で返してくる芳野宮にため息をつきつつ、俺は超甘口な榎田くんに感想を尋ねる。すると俺の期待通り、榎田くんはにっこり笑いながら答えた。



「とってもおいしいです、白河先輩!さすが店舗研究されてるだけありますね!」
「そっか、ありがとう」
「やっぱり人目を気にしない食事はおいしいですね!宮様や僕は、食堂で食事してるとどうしても注目を浴びちゃうから、なんか気が散っておいしくないんですよ」
「へえ、生徒会関係特別ブースがあるのにそうなのか?」



榎田くんの言葉に、ちょっと意外を感じて俺は目を見開く。すると榎田くんの代わりに芳野宮が答えた。



「どこにでも物好きな下世話な輩はいるものだからね。僕が何を食べようが放っておけばいいものを、双眼鏡で覗いたり、それを校内ブログで書いたり。迷惑行為はキリがない」
「……はー……」
「まあ、喜志多はそれを面白がれるくらい余裕があるようだがな。僕は狭量だからな、そんな話題のネタになるのはごめんだ」
「……いや、それは誰でもごめんだろう……」
「喜志多はそこを逆手に取って、購買部とコラボして売り込み商品を宣伝しているらしいがな。ちょっとしたマージンを取って」
「ええ、そんな事くらいで売れたりすんのかよ」
「喜志多がアピールした商品は翌日売り上げが倍になるそうだ」
「……マジかよ」



改めて聞く生徒会に対するミーハーぶりに、俺はため息をつきたくなる。それに肩を竦めながら芳野宮は言った。



「まあ、僕はそんな道化になる気はないからね。食事くらい優雅にリラックスして楽しみたいじゃないか。……そういうわけだから、今後もよろしく頼むよ、白河真言」



そう言って、芳野宮はニヤリと笑う。それに俺はため息をつきながら言った。



「……なら、もうちょいそのイヤミ口調をやめて素直に誉めてくれよな」
「素直に誉めたくなるくらい君の技量が上がったらね」
「……はいはい」



相変わらず芳野宮は容赦ない。それに俺はため息をつきつつ、まあこのノリがなきゃ芳野宮じゃないよな、なんて思いつつ。適当な軽口を叩きながら、俺たちはにぎやかに週末のランチタイムを過ごしたのだった。



・END・

嘘から・宮様の優雅な1日 まこっちゃんはお菓子を持参していじられるけど宮様は、楽しんでまこっちゃんと会話

一日、とお菓子成分がアレですが。芳野宮と真言+榎田くんでした。

[ 31/82 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[topにもどる ]



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -