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今日のメニューのメインはサンドイッチ。ブロッコリーを砕いて辛子マヨネーズに和えたフィリングをトマトと一緒に挟んだライ麦パンサンドに、卵をたっぷり使ったフィリングの定番卵サンドに飾りのパセリ、というもの。出来立て感を出すためにタッパに十分水切りした野菜とフィリングを詰めて来たから、具材の水っぽさ対策はバッチリだ。色合いもきちんと考えたし、見た目にもうるさい芳野宮にもこれでダメ出しを食らうまい。付け合わせはセロリのピクルスに今日の朝さっと作ってきたコンソメスープ。こっちは水筒に入れて来たからちょっとあっためるだけでいいし、後は肉っぽさがないなーと思ったので昨日の晩御飯の唐揚げをちょっと持ってきておいた。そして仕上げは、昨日榎田くんにこっそり書記部屋の冷蔵庫に入れてもらった特製プリンだ。以前プリンを作った時、芳野宮から『いまいち』とダメ出しされたので、今回はそのリベンジも兼ねた一品だ。今回は滑らかさ・味・香りにこだわり、食材をいちから吟味し、工程も慎重に慎重を重ね、試作を何度も繰り返し、……と言い続けると、試食者の瑞木から言われた『お前は男子高校生として間違ってる』という言葉通りになってしまうため略するが、ともかくかなり頑張った。神田は二個食べたし、甘いものがそんな好きじゃない檜山だって食べてくれたのだから結構イケてるはずだ。そんな自慢の品々を並べている間にも榎田くんは「わあ、おいしそう」を連発していたし、芳野宮もちょっと「ふふん」と言わんばかりの顔をしている。……これはイケたか!とちょっといい気になっていると、芳野宮が俺に向かい言った。



「ほう、今日はなかなか見れる色合いだな」
「そうだろ、お前をギャフンと言わすために、休日は有名なカフェやレストランにランチを食べに行ったからな!言わば研究の成果だよこれは!」
「よく言う、どうせ熊とのデートのついでだろうに。僕との勝負にかこつけて、街を歩き回る口実にしていたんじゃないのか」
「……そうとも言うけど、……いいだろ別に!とにかく、食べてみろよ!



檜山の事を持ち出された俺はちょっとバツが悪くなり、その誤魔化しついでに芳野宮を睨み付ける。それに「ふふん」と言わんばかりのイヤミったらしい笑みを返しつつ、芳野宮は置いといた手拭きで手を綺麗に拭いた後、サンドイッチに手を伸ばす。そしてゆっくり噛み締めた後、余裕の体で笑みを浮かべながら俺に言った。


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