E


「今の反応は悪くない。だがそもそも、自分の得意な間合いを相手に崩される事からして下策だな、関賀」
「っ、」
「……来い、もう一度」



息も乱さず、佐知は関賀にいい放つ。それに関賀は苦笑めいた笑みを浮かべつつ、芝居がかったように手を振り上げた。



「……全く、大人げねぇなぁ、からかわれるとすーぐムキになっちゃうんだからー。だからアンタ、おんなじムッツリスケベのど変態しか友達いねーんじゃねぇっすか」
「……まだ減らず口を叩く余裕があるか」
「あったりめぇじゃないっすか、オレはいつでもあかるく・楽しくがモットーのオトコっすよ。追い詰められるなんてガラじゃねーんで」



関賀の笑みは揺らがない。しかしその笑みの質は、先程よりは必死さとやる気が見え隠れする。それに佐知は頷いた。



「……貴様のその根性だけは認めてやってもいいがな」
「じゃー、ついでに腕も認めてくださいよ、教官」
「寝言は寝て言え」
「ちぇー、やっぱ佐知サマはかってーな。……ま、いいや。じゃー、……チューリップ組、関賀霞、いっきまーす!」



そう言いながら、関賀はまた警棒片手に佐知と間合いを取りながら襲いかかる。が、やはり佐知には一歩及ばず、何度も打ち倒されてしまう。それを教練場の上で人見は満足げに眺め、府川は関賀の土壇場で見せている根性だけには心中感心しつつ見つめていたが、やがて人見の方が大きく伸びをしながら言った。



「うん、ちゃんとさっちゃんはセッキーを苛めてるようだし!満足したからフッキー、もう一回ムリカーしようよ」
「……見届けなくていいんですか。部下が頑張っているというのに」



少し呆れ顔で府川は人見に言う。しかし人見は首を振った。



「えー、もう飽きたし。さっちゃんは訓練だとアソビ心絶対にないしさー、これ以上は見ててもつまんないよ。それより久々のゲーム楽しかったからそっちやろう!あ、ムリカー嫌ならタコゲーでもいいよ!」
「……全く、アンタも飽きやすい人ですね」
「時間を効率よく使ってるって言ってほしーな!さー、じゃあ対戦対戦!」



ウキウキと人見は教練場から出て行ってしまう。それをため息一つをつきながら府川は追っていく。そして教練場では佐知と関賀の地獄の特訓は続き、――人見家の休日は、こうして四者四様で過ぎていったのだった。



・END・

さっちゃんが関賀をシゴく話。
プロっぽいかはわかりませんが、つまり佐知と関賀はサド高ではとんでもなく強いですよ、という話。

[ 26/82 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[topにもどる ]



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -