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……そして、訓練場下。余裕の笑みを浮かべながら、関賀は佐知に対峙していた。



「へっへーん、やっぱアイツらじゃ相手にもならなかったっすねー?佐知サマも分かってながらけしかけちゃって、ほんと性格悪いんだからー」



へらへら笑いながら関賀は軽口を叩く。しかし佐知は表情も変えずに冷たい口調で言った。



「……大口を叩く割にはずいぶん手間取ったな。この人数ならばあと三十秒は時間を短縮できたはずだが」
「いやー、その分華麗にブッ倒したっしょ?マジでアクション映画のワンシーンにしてもいいくらいだと思いますけどー?」
「……そんな軽口が叩けるなら、俺の教練を受ける余裕はあるという事だな」



佐知はギロリ、と関賀を睨み付ける。それに関賀はニカ、と擬音がつきそうなくらいの笑みを浮かべた。



「当然っしょ、つーか今日は調子いいんでー。今日こそはアンタやっちゃうかもしれませんよ」
「……勝てる気でいるのか」
「いつまでもヒトの風下に立つほど、オレもちーさいオトコのつもりないですからぁ。……ま、並大抵じゃ無理っつーのはわかってますよ?けど、諦めたらそこでなんとやら、……ってね!」
「……」



軽口を叩きつつ、距離を図るように関賀は少しずつ佐知に近づき、大きく腕を振りかぶる。ひゅん、と耳にも聞こえない小さな振動音がしたかと思うと、目に見えないほどの小さな針が佐知に遅いかかる。しかしその動きを見きった佐知は、素早く身を翻しつつ腕に仕込んだ警棒でそれを払い落とす。しかし関賀もそれを予期していたのか、一気に距離を縮め、佐知に襲いかかろうとした。……が、



「……近づくには二秒遅いな」
「っ!」
「……もしくは、針の動きが単調にすぎる。それでは手の内を知っている者には何の脅威にもならん」



それより早く、佐知の方が関賀に素早く近づき、鳩尾に警棒を食らわす。……が、関賀も咄嗟に警棒を取り出し何とか直撃は避けた。しかし、上体を崩したところを狙われ関賀は右膝をしたたかに蹴られた。



「って、」
「……気を散らすな」
「!」



容赦なく膝を蹴られ、痛みに関賀は眉をしかめる。だが容赦なく、佐知は関賀の頭に向け警棒を降り下ろした。しかしさすがにそれは関賀も避け、身を離し様、超至近距離で佐知に向かい針を飛ばす。それも佐知は警棒で払い落としたが、納得したように軽く関賀に頷いた。


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