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「はい二匹っと。……っとに、よえーなーお前ら。オレをギタギタにしたいんだろーが、なら本気で来いよ。……でないとマジで、お前ら全員ヤっちまうぞ?」



ベロリ、と関賀は舌で唇を舐める。それは、いつもヘラヘラしている関賀とは比べ物にならないほど好戦的、かつどこか嗜虐的なものを感じさせた。それを感じた強面たちは少したじろいだ顔をし、端で見ていた佐知は少しため息をつく。……これでは、始まる前から勝負は決まったようなものだ。事実、関賀は自身の獲物である暗器を使用する気配すらないのだ。恐らく関賀の圧勝――と佐知は読んだが、指南役としてはそんな思いを彼らに悟らせるわけにはいかない。戦闘時には、未熟な彼らは上官の佐知の表情ひとつにすら精神状態を左右されてしまうからだ。常の能面状態で、佐知は関賀たちの様子を見守る。その眼光は鋭く、未熟な部下たちの動向をただ、観察していた。



×××



「いやー、久々ムリカーやったら熱くなっちゃったなー!悪いねフッキー、せっかくの休みなのに付き合わせちゃってー」



……人見家訓練場、VIP用通路。稀に見る上機嫌さで、この施設の主・人見遊馬は側に付き従う府川檀司の方を見やる。それに府川は少しため息をつきながら言った。



「アンタの気まぐれに振り回されてるのは慣れてます。今回は少々意外でしたがね。ですがここに来るとは意外ですね。アンタが部下の教練を見学なんて、どういう風の吹き回しですか」
「いやー、今日はさー、久々にさっちゃんがセッキーをイビるって聞いてたからさー、面白いかなーと思って」
「……それはそれは」
「アイツ最近輪をかけて言う事聞かなくなったしさー、暇さえあればれーたのトコばっか行ってるし!ま、それはいーけどちょっとムカつくからさ、さっちゃんにちょっと苛めろって命令しといたんだよねー。なんてったってさっちゃんだしさ、今頃セッキーは酷い目にあってんじゃないかな!だから今から見に行って、セッキーを笑ってやろうと思って!」
「……全く、ろくな命令をしませんね、アンタは」



喜びいさむ人見に、府川はまたため息をつく。確かに数多く起こすヤンチャには少し意見はあろうが、あれで佐知は関賀を部下としては一番目にかけ可愛がっている。大口を叩くだけあり、関賀の腕は中々のものだし、あれで最低限、佐知の言う事は聞く愛嬌は持ち合わせているからだ。

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