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「あいにくだな、今回は関賀、お前が教えを受ける番だ。……俺達、遊馬様直属精鋭隊『ACS』がな」
「あー?ナニ言ってんのお前らー、オレに一度も組手で勝った事ないくせにー」



厳ついの強面の言葉にも、へらへらと関賀はしまりのない笑みを崩さない。それを憎々しげに睨みつけつつ、強面は関賀に吐き捨てるように言った。



「……その通りだ。しかし、ここにいる全員ならばどうだ。いくらお前が強くても、この人数全員を倒す事はできまい」
「あっは、プライドなさすぎ!タイマンじゃ倒せないからって、どっかのワンコロみたいに数打ちゃ当たるとでも思ってんの?だーからお前ら、いつまで経っても人見家じゃモブなんだよ」



心底バカにしたように関賀は笑う。しかし強面たちは負けずに関賀を睨みつけた。



「なんとでもいえ、……お前の腑抜けた態度は前々から看過しがたいと思っていたのだ!栄誉ある遊馬様直属に配属されたのにその任務を忘れ低俗な欲望にうつつを抜かし、あまつさえ佐知様の手を煩わすとは……!佐知様に代わり、どんな卑怯な手を使ってでも俺たちが貴様に教練の鉄槌を下す!」



強面たちは関賀を囲み殺気立つ。しかし関賀はそんな彼らを鼻で笑うと佐知に向かい言った。



「佐知サマー、これってアンタの差し金?」
「みな、志願だ」
「なーる?……いやぁ、まさかアンタの差し金だとしたらちょっと『んー?』だったけど、志願ってんなら、いーっすよね?こいつらみんな、伸しちまっても」



余裕の体で、唇を舐めつつ関賀は強面たちを眺める。それに佐知は頷いた。



「構わん。だが、彼らにも今日はお前を好きにしていいと言ってあるが」
「うわ、やらしー言い方!やだなー、ムッツリしながらその台詞!きゃー怖い、大人数に好きにされちゃう5秒前ぇー」



楽しげに関賀は笑う。それにカッとしたのか、強面の一人が関賀に掴みかかった。



「貴様という奴は……っ!」
「はーい、羊が一匹ぃ!」



掴みかかった腕を器用に掻い潜り、関賀はニヤリ、と笑いながら男の顎に右拳をめり込ませる。それに周囲が動揺する間にも、関賀は笑いながら近くの男の腹に蹴りを食らわせた。さすがに男も避けようとするが、それより関賀が早く男は直撃をくらいその場に崩れ落ちた。そんな男たちを見ながら関賀は男たちを見回した。

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