人見家の華麗なるボディーガードたち(さっちゃんと関賀、時々府川と人見)
とある日の休日。人見遊馬専属筆頭ボディーガード・佐知笛吹は、後輩・関賀を連れ、人見家極秘教練場に赴いていた。黒いジャージに身を包んだ佐知は姿勢も正しく、相変わらずの能面さでそこに待ち受けていた強面たちを見つめていた。が、約束の時間まで寝こけていた関賀は寝癖もそのままに、無理矢理着せられたピンクのジャージ(チューリップアップリケつき)を着て不機嫌そうに彼らを見つめていたが、やがて大きくあくびをしながら佐知に言った。
「……ふぁーあ……全く、今日はなんなんすか、佐知サマー?今回の訓練教官の当番はオレじゃないはずっしょー?だからオレ、夜更かししてレイちゃんたちとムリオカートしてたのにー。しかもなんすかこのダサジャージ!お笑い芸人だってこんなカッコしないっすよー?」
あくびをしつつ悪態をつく関賀に、佐知は事も無げに言った。
「そのジャージはバツケームだ。今日は臨時の特別強化訓練の通達が来ていたはずだが?今回は貴様の寮の部屋に置き手紙という形で」
「へ?……置き……?いつも連絡はラインじゃないすか、何で今回に限ってそんな」
「恐らく貴様が昨夜、名倉たちとムリカーに夢中になっているのが気に食わなかったのだろう」
「ひっでー!ムリカー誘われないくらい友達いねーのは自分のせいのくせに!何でオレにとばっちりが!つーかそれなら佐知様が遊馬様とムリカーすりゃいいじゃないすか!」
ギャーギャーと関賀は騒ぐ。が、それに佐知は能面で答えた。
「俺はゲームはできん。それに勝負事ならば遊馬様といえど手加減はしない。以前遊馬様にゲームに誘われたが、完膚なきまでに叩きのめして以来、俺は勝負事には誘われない」
「……いや、そこは接待的にやりゃいーんじゃないすか」
「遊興といえど俺に敗けは許されない」
「かってーなぁ佐知様は!遊馬様なんかテキトーに持ち上げときゃイイ気になんのに変なとこでプライド高いんだからー」
「…………全く。遊馬様がまだ来ていないのをいいことに貴様という奴は。……どうも貴様といると俺すら無駄口が増えるようだ。もう今日のカリキュラムを始めるぞ」
「へいへーい。……んで、今日オレが教育してやんのはここの連中っすかー?」
ギロリ、と厳しい視線を向ける佐知にも悪びれた様子もなく、寝癖を手で撫でながら関賀は目の前にいる強面たちを一瞥する。それに対し、その内の一人は機嫌悪げに関賀に言った。
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