とある日、会長様は大殺界でした。


注・この話は『王道くんになりたい!』の阿久津会長視点の話になります。



『はーい、毎度お馴染み、愛の星座星占いでーす!……今日の運勢は、どうかなー?
――毎朝貴方のラッキーを占う12星座星占い☆今日一番ラッキーなのは、射手座!思わぬところからのチャンス到来!全体的に今日はアナタの思い通りにいくかも!
……そして、今日一番のアンラッキーさんは、……獅子座!何をやってもうまくいかない、回りからの誤解で窮地に追い込まれるかも!そんな貴方のラッキーカラーは、……緑!目につくところにおいておくと運がアップするかもしれません!』



――ピンポーン。


「……ん?」



とある朝。佐土高生徒会長・阿久津航海はいつものように身支度を整え、学校に出掛ける準備をしていたが、突然鳴らされたチャイムの音に眉をしかめる。……こんな時間に、誰が来たというのか。出掛けるには少し早い時間の来客に、阿久津は返事はせず覗き穴からその姿を睨み付ける。が、そこにいたのが秋田志波であることを認めると、すぐに扉を開けた。



「なんだ、どうした、志波。お前が朝に来るなんて珍しいな」
「うん、……ちょっと、気になる、ことがあって」
「……何かあったのか?」



秋田がこんな時間に来るのは珍しい。何か相談事か、と阿久津は身構えるが、秋田はふるふると首を振った。



「あ、ううん、……おれのことじゃない。ちょっと、航海に、聞きたいことが、あって」
「俺に?なんだよ」



阿久津が少し笑みを浮かべながらそう言うと、秋田は少し眉をしかめながら言った。



「……ねぇ、航海は、……獅子座、だったよね」
「?ああ、そうだな」
「――で、AB型」
「おう」
「……」



阿久津が答えると、秋田はますます深刻そうな顔になる。それを心配そうな、しかしどこか不可解そうな顔をしつつ阿久津は秋田に尋ねた。



「……おい、何だよ、そんな顔して。俺の星座がどうかしたか」
「……最悪」
「……は?」
「……今日、獅子座、運勢、……最悪だって、……占いが」
「……」
「しかも、ABが、今日いちばん、アンラッキー、なんだって。……だからおれ、心配で」
「……」



心底心配そうな顔をする秋田に、阿久津は大きくため息をついた。



「……志波。占いって、いつも朝やってるテレビのアレだろ?あんなの適当だって。信じる必要ねぇよ」
「……でも、あれ、けっこうあたるん、だよ?……他の占いでも、……最悪、って、いってたし、」
「たまたま、たまたま!大体お前、この世に獅子座AB型が何人いると思うよ?全然気にするようなこっちゃねぇ。でもありがとな、心配してわざわざ来てくれたのか」



安心させるように、阿久津は秋田の頭を撫でる。しかし秋田はそれでも少し心配そうな顔をして言った。



「航海、今日の、ラッキーカラーは、みどり、だって。今日は、みどり、持ってたほうが、いいよ」
「はいはい」
「じゃ、おれ、しゅうたの、せわがあるから、……気をつけてね」



そう言うと、秋田は去っていく。それを阿久津はため息をつきながら見送る。……神経質なところのある秋田だが、まさかそんな事を気にしていたとは。たかが占いくらいで大袈裟な。そう思いながら、阿久津は今日着ていくつもりだった紺のセーターを手に取った。

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