もしも…


 その頃の国王ハラダ。

薄原「あ? 姫から手紙だぁ? ちょいかせや。……何々? 『魔王はいい人っぽいので特に危険はないと思います。危ないのは従者ですかね。そのうちに私が殺しておきますから心配はいりませんよ』……頼もしいな。ま、俺はもうやることねーし、ほっときゃ何とかなるだろ」


 実は密偵として姫が送り込まれたとは知らない魔王の従者に陰でほくそ笑むマコト国国王ハラダは、実は勇者がそこに向かっていることを知らない――。





















創土「ここが入口か」

薄沖「早く開けてくださいよ、トシゾーさん」

薄藤「あいつらがやばいんだからさ!」

創土「……ったく、俺の出番かよ」


 魔術師トシゾーは、怪しげなステッキを取り出し呪文を唱えた!


創土「キツノルハ、ヤチミクユテデ、ニウヨウコ〜」

薄藤「何回聞いてもけったいな呪文だよな、これ」


 それでも威力があるのだから笑える。
 ガガガガ…と岩が動いて横穴が見えた。


風間「ふははははは! 待っていたぞ勇者ども。あやつの命令に従うのはしゃくだが楽しませてもらおう」


 カザーマが現れた!


薄斎「俺が相手になろう」

薄沖「あ、やっとサイトー君出番だね」

薄藤「旅の間ひとっこともしゃべんなかったしな」


 一撃必殺技イアイがカザーマに炸裂した。
 地下通路の地図を手に入れた!


薄藤「あっけねーな」

薄斎「うむ」


 一行は進む。















 その頃の魔王達――。

創藤「ごめんね、ヒジカータには俺も逆らえなくてさ。何せ育ての親だから」

春月「いえ。……魔王様が優しくて、本当良かったです」

千鶴「ハヅキちゃんもやる? カルタ」

春月「うん。あ、ユーヒちゃんが読み手? じゃあソージ姫とチヅルちゃんは取り手ね」

悠日「うん。ハヅキちゃんもこの辺に座って。あ、魔王様もどうぞ」


 連れて来られた町娘三人は、有意義に過ごしていた。























 そんなことはやはり知らない勇者一行。
 とうとう側近のいる場所までやってきた。


創土「俺達がてめえを倒してこの国を平和にしてやるからな!」

薄土「何? よくそんな大口を叩けるな、魔術師!」

薄沖「本来のラスボスのはずの魔王と勇者差し置いて、この二人何やってるんだろうね」

薄藤「だからトシゾーが勇者兼魔術師になればよかったのになー」


 そんな中、ヒジカータ対トシゾーの戦いが始まった。


薄沖「サイトー君ひまそうだね」

薄斎「勇者が倒すのは魔王と相場が決まっているからな。だが、魔王は賢君と聞く。倒す必要はあるまい」


 暇人勇者は、勇者らしくなく戦いを傍観中。


創土「シホテメソ、ニヨキツヨキツ、ンタボロシ!」

薄土「そんな術が俺に聞くはずねえだろう、がっ!」

薄斎「……助っ人に入るべきか?」

薄沖「そうだね、あ、トウドウ君はそこにいてよ」

薄藤「へいへい。いってらっしゃい」


 オキタとサイトー、戦いに参戦。
 と、その時、オキタの懐から何かが落ちた。


薄沖「あー、さっきヤマザキから取った『ホックック』か。あれ、何か書いてあるね。…『うめのはな〜、いちりんさいてもうめはうめ……』うっわ、下手な唄だね」

薄土「なっ、何でそれをてめえらが持ってんだ?」

薄斎「隙あり」


 ホックックを見て隙だらけになったヒジカータに、サイトーのイアイが炸裂した。

 ヒジカータを倒した。
魔王の城のマスターキーを手に入れた。























 その後――。

春月「……あ、トシゾーさん」

創土「無事だったか、ハヅキ。良かったぜ」


千鶴・悠日「オキタさんにトウドウさん、サイトーさん」

薄沖「君達いい子にしてた?」

薄藤「怪我してねえか?」

薄斎「無事で何よりだ」


創沖「あーあ。何だ、倒しちゃったんですか。こっちもいろいろ計画立ててたんですけどねえ」

創藤「まあ、いいんじゃない? 結果的にあいつ死んだしさ」





 こうして、マコト国には平和が訪れたのでした――。






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