もしも…
遥か昔、マコト国と呼ばれる国がありました。
その国は強大な力を持つ魔王――の側近のヒジカータが支配しておりました。
創土「…というわけだ。そのヒジカータを倒さねえとこの国はしまいだ。姫を質にとられている上国王も動かねえときてるしな。行くぜ、皆!」
そんな魔術師トシゾーの声で多くの者が集まった。
創土「…でだ。てめえが勇者だ」
現在トップとなるリーダーを決めるために面接中である。(トシゾーいわく、『俺は影で引っ張るのが性に合ってんだ』)
そんな中決まったのはサイトーだった。
創土「頼んだぜ、サイトー」
薄斎「うむ、あい分かった」
薄沖「どっちが勇者か分からないよね、これ。サイトー君てば、自分が飾りなの分かってるのかな?」
薄藤「でもサイトー君強いし、特に問題ないんじゃね?」
剣術格闘家オキタと、ヒーラートウドウが傍らでこそこそ話しているのに気にも留めず旅が始まる――。
その頃の魔王達はというと――。
創藤「それでさ、ここはこうすると人間も喜ぶと思うんだよね。ソージはどう思う?」
創沖「ここはこうするともっと喜ばれるんじゃないですか? 結構困ってる人見かけますから」
質にとられているはずのソージ姫は、魔王ヘースケと仲良く暮らしておりました。
そんなこととは知らず、勇者一行は旅路を進む。
薄山『ここから先は通さん!』
魔王の側近の手下、ヤマザキが現れた!
薄沖「へーえ、君が相手? 僕が相手になってあげるよ」
そう言うと一撃必殺、オキタはヤマザキを倒した。
『ホックック』を手に入れた!
薄沖「何、これ?」
創斎「それは魔王の側近の持ち物『ホックック』だ。このあと役に立つだろう。持っているといい」
薄沖「君、誰?」
創斎「通りすがりの考古学者だ」
薄沖「僕は名前を聞いてるんだけど」
創斎「…ハジメだ」
静かに何の前触れもなくやって来て帰っていったハジメを一行は見送った。
薄藤「オキター、怪我してっぞー」
ったくよー、とトウドウは手をかざしてオキタが負った傷を治した。
薄沖「これくらいの怪我はすぐ治っちゃうんだけど」
薄藤「俺の仕事なくすなって」
薄沖「あれ、じゃあトウドウ君は皆が傷つくと嬉しいんだ? うわー、性悪だね」
創土「てめえら、さっさとしやがれ! 野宿してぇか?!」
そんなわけで町に到着。
創原「旅の一行か? ようこそ、アサギ町の宿『ミブロ』へ。部屋は空いてるからどこでも入れよ」
宿屋で出迎えてくれたサノに、トシゾーは詰め寄った。
創土「魔王の城について何かしらねーか?」
創原「城? んなもん誰も近づかねえよ。あー……でもな、最近町娘が三人城に呼ばれて行ったぜ。ヒジカータとかいう従者の命令らしくてよ、泣く泣くついていったって話だ」
創土「他に何かねーのかよ」
創原「それ、人にもの聞く態度か?」
創土「悪い。ここには知り合いの娘がいてな、つい焦っちまった」
創原「別にいいけどよ。あ、ちなみに連れてかれたのは、ハヅキとユーヒ、チヅルって娘らしいぜ」
創土・薄沖・薄藤・薄斎「………」
その日、宿に泊まらず旅路を進むことを決めた一行は、情報提供してくれたサノに礼を言ってその町を後にした。