第六花 松
『そこ』は、静かな場所だった。
人の気配はなく、鳥の声と川のせせらぎと、木々の葉音が響くばかりの場所。
故郷によく似たその場所は心地よく、過保護な側近達の目を盗んで毎日のように来ていた。
そもそもここに入ってくる人間はいないに等しい。
だから、安心していられた。
そんな、まるで世間とは一線を画した場所。
そこで出会ったのは、一対の翡翠を持った、一人の少年だった。
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