シンフォニア高位魔法学校。
私が今通っている魔法学校だ。

「あら、美奈じゃない。・・・・・・こんな所でお昼?」
「ああ、アリスか」

昼下がりの中庭。
ベンチに座ってお弁当を広げているのは研究生の美奈。
良くも悪くもマイペースという言葉が似合う彼女は普通に食事中だ。
確かに今日は日も暖かいし外で食べたら気持ちよさそうだけど。

・・・・・・それよりも気になるのは。

「何やってるのよゴーランドは」
「何って、飯食ってんだよ」

そんなの見れば分かる。

「私が言いたいのはそうじゃなくて!何でゴーランドが美奈のお昼を強奪してるのかってことよ」

強奪と言うと言い方が悪い気もするが、実際そう見える。
「メリーが教職という立場を盾にとって人の飯とってんだよ」
「人聞き悪い事言うんじゃねぇよ。後メリーは止めろ」
遊園地寮に行くとよく見るやりとり。
きっとこの学園で、ゴーランドのファーストネームである「メリー」で呼ぶのなんて美奈くらいのものだと思う。

「それにしてもあなたたち仲いいわよね」

ベンチに並んで座って昼食、なんてカップルにしか見えない。
むしろこの2人だと妙に馴染みすぎて夫婦にすら見える。

「良くない」「そうだろ?」

息ぴったりだ。
美奈は研究者としてこの学園に残ってるという立場なだけあって、割と時間は自由に過ごしているようだ。
その大半は図書室に引きこもっているので自室がある遊園地寮にはあまり戻らないようだが。
ゴーランドは美奈が学生だった頃から担任をやっていたのと寮も同じで付き合いが長いらしい。
美奈は否定しているがこの2人が(ほぼ)公認で恋仲なのは周知の事実状態になっている。

まぁ、当事者の片割れは否定しているんだけれど。

「仲いいのは構わないけど、あんまり人前でくっつくんじゃないわよ?」
「アリス・・・今研究してる空間圧縮魔法と、論文作成中の新薬の実験台。どっちがお好み?」

にっこり。
珍しく美奈は笑うが目が笑っていない。

「どっちも遠慮するわ。仲が良いのは良い事じゃない」
「ほらな、アリスもこう言ってるだろ?」

ゴーランドがぱっと笑う。
ああ、本当に美奈のことが大切なのね。
ボリスが言うには美奈の在学中に色々あったらしく、ゴーランドは美奈の事を溺愛とも言えるレベルで大切にしている。
そう言っていた本人も美奈の在学中を知っているわけじゃないからあくまで噂程度だけれど。
それに美奈もまんざらでもなさそうだし、何だかんだお似合いだと思う。

「そういえば美奈の出身って東国のヤマトって国だったかしら」
「ん?ああ、そうだよ。そっちからルーンビナスに来てんの」

卵焼きを食べながら美奈が言う。
食べるか喋るかどっちかにしなさい。

「この前読んだ本でヤマト文化についてのってたんだけど、今日はヤマトでは『愛妻の日』なんですってね」

ゴーランドにぴったりじゃない、と言うとゴーランドは嬉しそうに笑い、美奈は途端に真顔になる。

「まぁ、まだ夫婦って訳じゃないけどな」
「まだってなんだよ」

やっぱりそう言われると嬉しいものなのかしらね。
ゴーランドはいい年をした大人なのに少年のよう。
隣でぶつくさ呟いている美奈はやっぱりまんざらでもなさそう。

「もうとっとと結婚しちゃいなさいよ」

あんまりじれてるとこっちがイライラするのよね。

「まぁあんまり遠くって気もしないのよね」

「アリス?」

「何でもないわ。あ、卵焼き1つもらっていい?」

それまでは少し邪魔してやろうかしら、なんて思いながら私は友人の隣を陣取った。






―――
ゴーランド夢と言い張る()
箱アリの学パロで侯爵夢。アリス視点で見た2人の話です。
途中で出てきた出身地とかは捏造捏造。
今日は愛妻の日だそうですよ



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -