彼女は、本当に面倒くさがりだ。
引きこもりで、ネガティブで、何より口が悪い。
口を開けば死にたい、死ね、人類抹消しろ。
それでも彼女は俺を・・・というよりも俺たちを、好きでいてくれた。

俺の支配する時間で、彼女はいつも泣いていた。

だから、俺は―――





「美奈」
寝息をたてる女性の頭を撫でながら、ゴーランドは優しい笑みを浮かべる。
彼が狂ったように切望し、どこにも行けないように囲ってしまいたいとすら願った女性。
大人であるのに大人になりきれず、子供ではないのに子供のよう。
不安定で、不確定。
余所者であるのに、最初からこの世界にいたかのように馴染んだ人。
「・・・ん、メリー?」
美奈は体を起こし、彼がもっとも呼ばれたくないファーストネームで呼ぶ。
この国で、ゴーランドの事を常にファーストネームで呼ぶ人間など、美奈くらいのものだ。
「メリーは止めろ」
「だってメリーじゃん」
意地悪く唇を歪めて笑う美奈の後頭部に手を回し、キスをする。
「・・・変態」
「なっ・・・!」
離れた瞬間に罵られ、流石に言葉を失う。
「何本気にしてんの。アンタみたいなのに付き合ってられるのなんか私くらいでしょ」
体を伸ばしながら美奈は言う。
彼女の言葉はいつも冗談なのか本気なのかが分からない。
「ねぇ」
「どうした」
美奈はまた寝る体制に入るつもりなのか、靴を脱ぎソファに座っていたゴーランドの膝に自分の頭を乗せる。
(普通逆じゃないか?)
そう思いつつ、美奈が自分の側に居てくれることが嬉しい。
「さっき頭撫でた?」
「イヤだったか?」
んー・・・?と美奈は眠そうに目をこする。
「別にイヤじゃない」
下を見ると、寝転がる美奈と目が合う。
「頭、撫でて」
「あぁ」
ゆったりとした動作で頭を撫でると美奈は嬉しそうに笑う。
元の世界でだって、こんな笑顔は見せていた。
・・・見せることが出来ていた。
「何で泣きそうなのよ」
「気のせいだろ」
頭を撫でながらそう言うと、変なの、と美奈はまた笑う。
「ねぇ」
「何だ?」
「私が起きるまで、側に居て」

―泣きそうなのはあんただろ

そんな言葉を飲み込み、ゴーランドは頷く。
「あんたが望むなら、俺はいつだってあんたの側に居てやる。だから安心しろ」

結局お互いに、お互いが居なければ生きてなどいけないのだから





―――
絶対ゴーランドは独占欲強いと思う



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