「克之さんは私のこと好きですか?」
もそもそとシーツから頭を出しながら私は尋ねる。
「えぇ、もちろん。愛していますよ」
「うわぁ、何だろう・・・この笑顔から滲み出る胡散臭さ」
純度100%で胡散臭い。(ぱっと見は)爽やかな笑顔なのにここまで胡散臭さを滲ませる事が出来るなんてある意味才能だ(そんな才能いらないけれど)
「おや、ここまで信用がないとは」
「信用がないって言うか、克之さんが胡散臭すぎるだけですよ」

笑顔を見ると思わず逃げ出したくなる程度には。

「私はこんなにも花梨さんを愛しているというのに、悲しいことです」
そう言って悲壮な表情を見せる克之さん。どんどん胡散臭さが増してますよ。
・・・言いたいけれど、言葉を飲み込む。
変なことを言うとまたスイッチが入るに決まっている。
「花梨さん」
「何でしょう」
「言いたいことがあるのなら言ってください」
思わず顔が引きつる。え、何この人。読心術でも持ってるの?
あり得そうで怖い。
言葉を紡ごうとして口を開いては閉じる。
多分これは言ったらダメだ。重い女だと思われたくない。
それでもこうやって確認しないと不安になる。ドス黒い、どろどろとした感情が胸の内に沸いてくる。

「嫉妬で、人を傷つけた人の気持ち・・・分かるかもしれない」

枕に顔を埋めながら小さく小さく呟くように言う。
例えば、克之さんに近づく女の人を全員殺せたら。
そうしたらこの人は私だけを見てくれるんじゃないかとか、この人に近づく人は居なくなるんじゃないかとか。
『恋心』なんて可愛らしいものじゃない、真っ黒な欲。

「花梨さん」

ふいに、優しい声色で呼ばれて顔を上げる。それとほとんど同時に口の中に克之さんの指が入り込む。
「私のことを食べますか?」
口元に浮かんだ妖しい笑み。
このまま私がこの指を強く噛んだら、どうなるのか。
一瞬、快感にも似た震えが走る。
私は手を伸ばして克之さんの手を取る。
「私・・・悪食な自覚はありますけど人間を食べるほど飢えてなんかないですよ」

でも一瞬。

(それもいいかもしれないって思った)

食べて、1つになって。
「嫉妬に狂う花梨さんは、とても美しいですよ」
組み敷かれながら、私は克之さんを見上げる。
「・・・変な性癖に目覚めたら、責任取ってくださいね」
腕を伸ばして克之さんに抱きつきながらそう言うと、もちろんです、という声が耳元で聞こえた。



人喰欲求。
(ねえ、貴方はどんな味がするのかしら)




―――
ついったでちょろっと呟いたカニバネタ。
何だろうこの・・・主人公がどんどんちょうk、教育されていく感
番外編は毎度吹かせていただいてます、隊長



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