私は

「相変わらず凄い量食うなぁ、花梨は」

食べることが好きだ。

頬張っていたおにぎり(おやつ)を飲み込むと私は天王寺さんに視線を向ける。
「そうですか?普通ですよ、普通。っていうか今日は少ないですよ」
それだけ言ってまたおにぎりに齧り付く。
あー、美味しい。やっぱり食べてるときが一番幸せだわ。
今日は久しぶりに私も天王寺さんも事件に追われず、仕事も溜まっていなかったので早く帰ってこられて。
私はと言うと途中お腹空いた時に食べようかなーなんて思って持って行っていって結局胃に入ることのなかったおにぎりをかじりながらビールを飲んでいて、天王寺さんはつまみを食べながら同じくビールを飲んでいて。
まぁ何てことない日常で。
それでも、隣に天王寺さんが居ると思うと思わず顔がニヤけそうになる。

「花梨」

「はーい?」

もごもごと口を動かしながら顔だけ向けると、天王寺さんが意地悪そうな顔で笑いながらこっちを見ていた。
「顔、緩んどる」
「そうですかー。天王寺さんと居るからじゃないですかね?」
さらっとそう返してやると、天王寺さんの顔が赤くなる。
いつも意地悪だし、何か余裕綽々みたいな感じだけど不意打ちでこういうことを言うと、天王寺さんはすぐに照れる。
「今日はやけに素直やな」
「何言ってんですか。私はいつでも素直で可愛い女の子ですよ」
最後の一口を飲み込み終え指先を舐めながらそう言う。

・・・鼻で笑われた。

まったく失礼な人だ。
いや、それは天王寺さんに限らず二課メンバー全員なんだけどさ。みんな私に対して失礼なんだけどさ。
花梨さんは心が広いからね。失礼な言動はそっと流して、もそもそと天王寺さんの側に寄ると肩に頭を預ける。
それと同時に腰に手が回される。
唇が触れ合いそうな距離で見つめ合いながら、ふと思い浮かんで口元を歪める。
ぐっと力を入れて天王寺さんの体を押すと、思ったよりも簡単に床に倒れ込む。
その上に跨がるような状態で天王寺さんを見下ろす。
「花梨・・・俺に恨みでもあんのか」
「いえいえ、そんな。たまには趣向を変えてみようかと思いまして?」
あると言えばありますけどね?この前買い置きのデザート食べられたし。
それに関しては練りからしで復讐しておいたからもういい。
「私、食べるのが好きなんですよ」
ポツリと囁くように言うと、天王寺さんが私の下から腕を伸ばす。
手はそのまま後頭部に添えられてぐっと引き寄せられる。
「他の男もそうやって食っとったんか?」
「止めてくださいよ。京橋さんじゃないんだからそんなわけないでしょう」
あの変態メガネと一緒にされるとは心外だ。訴えてもいいくらいだと思う。
「私は、好きなものを食べるのが好きなんですよ」

理屈じゃなくて、『すきだから』。

挑発的な笑みを浮かべて、唇を舐める。
「なら、俺の事も食うてくれるんか?」
「えぇいいですよ?天王寺さんが望むんでしたらね」
答えると同時に、私たちの唇が重なる。



骨の髄まで貴方を愛して
(私は貴方を食べ尽くす)





―――
おお・・・まさか30分で書き終えるとは。
特捜は何か全体的に猥談率が高いのは気のせいでしょうか←
主にKさんのせいですよね。
天王寺さん可愛いよ天王寺さん。押し倒してごめん
ヒロインは公式よりもうちょっと大食いになりました



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