*悪魔と悪魔使いパラレルな話です












わたしは悪魔。
人と契約して、人を騙す生き物。
甘い誘惑で人を死に誘う者。

なのに、それなのに。


「あのー・・・起きてくださいよぉ」

空に輝く満月を見上げてため息を吐く。
『満月の晩』の宴が終わって、甲板は人間が言うところのいわゆる『地獄絵図』。
まぁ魔界はこんな感じじゃすまないくらいにごちゃごちゃしてるけど。

「っていうかイケニエくださいよー。魔導書に呪われますよー」

人間の姿を維持するのが辛くなってきたので悪魔の姿に戻る。
他の人はもうそれぞれの部屋に戻した。

今日はもっとイケニエに色付けてもらっても罰は当たらない気がする。
「せーんちょーさーん」
この船、シリウス号の船長リュウガさんの頬をしっぽでつついてみる。

この人もうちょっと悪魔の使い方覚えた方が良いと思うんだよな。
悪魔と契約したのも酒の勢い、魔導書の文章も読めない、喚び出す割にはまともなイケニエ用意しない。
・・・・・・いつか本当に契約違反しそう。

はぁ、とため息を吐く。

「・・・サクヤか」
「どうもー、わたしですー」

目を覚ました船長さんが起き上がる。
帰るんでイケニエください、というと船長さんはニヤリと笑ってわたしの膝に頭を乗せる。
「どうせイケニエやるんだ。少しくらいサービスしていけ、処女サキュバスさんよ」
「うっさいですね!そこ関係ないんだから言わないでくださいよ!」

ニヤニヤ顔が凄い腹立つ。
でもわたしたちは契約者には危害を加えられないから大人しくしてるしかない。

「夢魔のくせに膝枕くらいでガチガチになってんじゃねぇよ」
「すいませんねー。悪魔に膝枕ねだるような人と契約したことないもので」

あぁ、お腹空いたなぁ。
早く魔界に帰りたい。
無意識にしっぽがぴこぴこと動く。

「なあ、サクヤ」
「はい?わたしもう帰りたいんですけど」
「愛してるぜ」

はぁ、とため息を吐く。

「頭がゆるーい面白い発言は良いですからとっととイケニエ用意してください。わたし甘い物な気分なんです」
「わーってるって」

悪魔に愛してるなんて、頭可笑しいんじゃないかな。
またため息をこぼしてふと下を見ると・・・

「なんで寝てるんですか」

船長さんはまた寝てしまっていて。
「ちょっと・・・イケニエ・・・」

本日何度目かになる大きなため息。

「バカだなぁ」

船長さんの髪の毛を撫でながらぽつりと呟く。




愛してるなんて本気にしない。
(だってわたしはいつか貴方を殺すことになるから)




―――
よんアザを読んでて浮かんだ悪魔と悪魔使いパラレルな話。
サキュバスなのに処女でイケニエに対して緩い悪魔(ヒロイン)と知識が無い癖に毎度悪魔召喚しちゃう悪魔使い(船長)
・・・という何ともゆるーい感じのノリです。

【配布元:Abandon】



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