「・・・よく寝てんなぁ」
リュウガはそう呟きながら自分の隣で熟睡するサクヤの頬をつつく。
それから盛大に溜息を吐く。
サクヤがシリウス号に戻ってきてから1週間。
元々サクヤが寝ていた部屋はこの船長室のため、帰ってきてからもこの部屋で寝ている。
「流石に生殺しにもほどがあんだろ」

寝ている、だけである。

今までの女あれば、すぐに手を出していただろうがどうにもそれが出来ない。
「んー・・・」
サクヤがぐるりと寝返りを打つ。
あまりに幸せそうに寝ているのを見ると起こすのも憚られる。
只単に警戒されていないのかそういったことに対して危機感がないのか。
「・・・・う、うぅ」
「サクヤ?」
急にうなされ始めたサクヤを見て彼女の肩を掴む。
「ちが、違うんです・・・だってナギさんの料理が美味しいから・・・太ってないです・・・うー、船長のばかぁ・・・」
「・・・どんな夢見てるんだお前は」
何故何も言っていないのにバカなどと言われなければならないのか。
溜息を吐きながらサクヤを抱き寄せる。
「船長・・・?」
「悪いな、起こしちまったか?」
サクヤはそれには答えずにリュウガの首に腕を回すように抱きつく。
「何だ、誘って・・・」

「大丈夫ですよ」

心地よく響く優しい声が耳を打つ。
「船長は1人じゃないですから、もう大丈夫です」
「サクヤ・・・」
言葉を続けようとして、サクヤが寝ていることに気づく。
「ったく、寝言かよ」
苦笑しながらサクヤの頭をぐしゃぐしゃと撫でる。
そしてサクヤの額にキスをすると口元にニヤリと笑みを浮かべる。
「次は覚悟しておけよ?」


そしてまた狼の憂鬱は続いていく。




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